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顔認証で認知症を早期診断へ研究

2019.07.10 :

兵庫県姫路市の計数機メーカー「グローリー」は、「顔認証」と呼ばれる画像認識の技術を応用して、新たな認知症の研究に乗り出すことになりました。表情の変化を数値化する最新の技術を活用します。

この研究は「グローリー」が順天堂大学を中心にした研究グループに参加して取り組むもので、10日、東京都内で記者会見をして概要を発表しました。
この研究には、「グローリー」が顔認証の技術を応用して新たに開発した、表情の変化を「数値化」する独自の技術が使われます。
一般的に、認知症になると表情がとぼしくなったり、怒りっぽくなったりと、特徴的な変化が顔に現れるとされています。

カメラで人の表情を撮影し、数値化することで微妙な変化をとらえ、早期の診断につなげたいとしています。

これまでは医師が経験にもとづいて表情の変化を判断し、認知症かどうかの診断をしていましたが、専門医の数は限られ、早期の診断や治療が遅れるケースもあると指摘されていました。
研究を統括する順天堂大学医学部長の服部信孝教授は「すでに症状が進行し有効な治療法がない段階で認知症と診断されるケースがあまりに多く、早期に発見できる仕組みを急ぐ必要がある」と話していました。

研究グループでは、今後、3年間かけて臨床研究を進め、実用化をめざす方針です。

「顔認証」開発現場は

兵庫県姫路市の「グローリー」は、計数機のメーカーとして、70年近くにわたって貨幣や紙幣を正確に見分ける技術を培ってきました。

20年ほど前からは独自の画像処理技術を応用し、高精度の顔認証システムの開発に取り組んでいます。

このシステムでは、ある人物について顔の画像や名前などのデータを事前に登録しておけば、その人物がカメラの前を通っただけで自動的に顔を識別し、モニター上で瞬時に特定します。
これを可能にするのは、顔の特徴を分析するために100のチェックポイントを設け、細かく分析していく独自の技術です。

このため、マスクなどで顔の一部が隠れていたり、顔が傾いたりしていても、「ほぼ100%」の精度で識別できるということです。
さらに、このメーカーでは、カメラがとらえた表情をもとに、その人物の感情を「数値化」するという技術も開発しました。

もともとは「笑顔を数値化することで客の満足度も測ることができるのではないか」という発想から、マーケティング現場での活用を想定して研究を進めていたということです。

しかし、去年の秋ごろに順天堂大学側から、「患者の表情の変化を読み取ることができれば、認知症の早期診断にも役立つ」として研究への協力を求められたということです。
「グローリー研究開発センター」の亀山博史センター長は、「医療への応用は全く想定していなかったが安心・安全な社会づくりに、我々の技術が少しでも役に立てばうれしい」と話しています。

記事の内容は作成当時のものです

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