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博物館の学芸員 遺跡から出土の文化財を無断で切り取り

2019.06.05 :

盛岡市にある岩手県立博物館の学芸員が県内の遺跡から出土した自治体の文化財の一部を無断で切り取り、処分を受けていたことが分かりました。切り取った文化財は少なくとも80点に上るとみられ、博物館は記者会見を開き「不誠実な対応だった」として謝罪しました。

岩手県立博物館によりますと、60代の学芸員が平成26年に岩手県野田村から預かった平安時代に使われていた農耕用のすきなどの文化財を、分析のため無断で切り取っていたとして、2年後に訓告の処分を受けました。
その後博物館で確認したところ、県内の紫波町や奥州市などから預かっていた文化財、少なくともおよそ80点についても、複数の学芸員などが分析のためだとして、一部を無断で切り取っていたということです。この分析した結果は自治体側に伝えられていませんでした。

博物館は自治体から文化財の保存や年代の鑑定などの依頼を受けて預かっているということです。

博物館は5日午前、記者会見を開き、経緯を説明するとともに「不誠実な対応だった」として謝罪しました。
この会見で担当した学芸員は無断で切り取ったことを認めたうえで「博物館の担当者間の連携が不十分で、切り取ることが相手側に伝わっていなかった」と説明しています。

博物館では今後、切り取った文化財の詳細を確認するとともに、分析結果を自治体などに伝えることにしています。

野田村「無断でされたことは遺憾です」

野田村によりますと平成27年3月に、岩手県立博物館の当時の館長と副館長、それに担当した学芸員の合わせて3人が村役場を訪れ、村内の平清水遺跡から出土した、平安時代にかけてとみられる農具などの文化財77点のうち32点について、無断で一部を切り取ったことを明らかにし、謝罪したということです。

村によりますと出土した文化財は保存処理をしてもらうために博物館に預けたもので、無断で一部を切り取った理由について、博物館側は金属のさびを防ぐための「脱塩処理」と呼ばれる方法がうまくいかなかったことから、その原因を確かめるために切り取ったという説明したということです。

当時、村の教育委員会の次長として対応にあたった小屋畑勝久出納室長は「文化財の切り取りについて研究の重要性を考えると、事前に説明があれば、拒否することはなかったと思うが無断でされたことは遺憾です。今後は事前に了承を得てほしい」と話しています。

九州国立博物館館長「了承を得て行うことが大原則だ」

文化財の保存や修復に詳しく、九州国立博物館の館長を務めた三輪嘉六さんは「文化財の分析のために一部を切り取る『サンプリング』を行う際には価値を損なわないよう慎重に行う必要があり、所有者の了承を得て行うことが大原則だ。また、その成果を所有者や社会に還元することも必要で、そうした事が行われていないのであれば倫理違反だと言われても仕方がない」と指摘しています。

記事の内容は作成当時のものです

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