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廃止フロンガス 中国から大量放出 オゾン層回復遅れ懸念

2019.05.30 :

オゾン層を破壊することから国際的に全廃したはずのフロンガスの一種が、中国から大量に放出されていることが、国際研究グループの分析で分かりました。オゾン層の回復の遅れが懸念されています。

フロンガスの一種の「トリクロロフルオロメタン」は、オゾン層を破壊することから、1987年に採択された「モントリオール議定書」に基づいて段階的に削減され、2010年に全廃されました。
ところが、世界の観測データを見ると2012年ごろから大気への放出量が増加に転じていて、イギリスのブリストル大学や国立環境研究所などは、特に濃度が高い傾向にある沖縄県の波照間島と韓国のチェジュ(済州)島のデータから、大気の動きを分析して放出源を推定しました。
その結果、中国の山東省と河北省を中心に大量のフロンガスが放出され、地球全体の増加量の少なくとも4割から6割を占めることが分かりました。
研究グループは、全廃前に製造されたフロンガスの放出量が急に増えるとは考えにくく、まだ製造が続いていた可能性が高いとしています。

また、アフリカや南アメリカなどは観測データがないため、中国以外にも放出源がある可能性は否定できないとしています。

オゾン層は、有害な紫外線を遮って生態系を保護する役割があり、フロンガスの国際規制によって2060年代には破壊が深刻になる前の水準に戻るという予測もありますが、今回明らかになった大量放出による回復の遅れが懸念されています。

研究に加わった国立環境研究所の斉藤拓也主任研究員は「今回の結果を国際的な枠組みの中で進められている調査に役立ててほしい」と話しています。

この研究結果は、イギリスの科学雑誌「ネイチャー」に掲載されています。

※掲載された論文はこちらから(※NHKサイトを離れます)
https://www.nature.com/articles/s41586-019-1193-4

科学文化部記者

横川浩士

平成13年入局。仙台局・静岡局を経て平成21年から科学文化部で主に原子力分野を取材。平成25年から3年間、アメリカ総局(ニューヨーク)で、宇宙、先端科学、感染症、サイバーセキュリティやアメリカの社会問題を取材。平成28年から2年間、国際部を経て、平成30年から再び科学文化部で主に科学分野を担当。

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