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春の褒章 歌手の石川さゆりさん 建築家の隈研吾さんら受章

2019.05.20 :

長年にわたって、その道一筋に打ち込んできた人や、芸術・スポーツの分野で功績のあった人などに贈られる「春の褒章」の受章者が発表され、歌手の石川さゆりさんや建築家の隈研吾さんら670人と19の団体が受章することになりました。

令和になって初めてとなる、ことしの「春の褒章」を受章するのは、
▽人命救助活動で功績のあった人や団体に贈られる「紅綬褒章」が1人。
▽ボランティア活動で功績のあった人や団体に贈られる「緑綬褒章」が13人と19団体。
▽長年にわたって、その道一筋に打ち込んできた人に贈られる「黄綬褒章」が187人。
▽芸術やスポーツ、それに学術研究の分野で功績のあった人に贈られる「紫綬褒章」が21人。
▽公共の仕事で顕著な功績があった人に贈られる「藍綬褒章」が448人です。

このうち、「紅綬褒章」は、去年6月、奈良県斑鳩町の踏切で立往生していた女性を助け出した67歳の男性が受章します。

また、「紫綬褒章」は、
◇透明感のある声と節回しで、演歌をはじめ数々の曲を情感豊かに歌い上げ、NHK紅白歌合戦にも41回出場している、歌手の石川さゆりさん、
◇東京オリンピック・パラリンピックのメインスタジアムとなる、新国立競技場のデザインを手がけるなど、世界的に活躍する建築家の隈研吾さん、
◇囲碁の歴代最多のタイトル獲得記録を持ち、おととしには史上初の通算1500勝を達成した名誉名人の趙治勲さん、
◇日常と非日常が混ざり合う独自の世界観で、恋愛小説など多くの作品を発表している芥川賞作家の川上弘美さん、
◇巧みな話芸で、しゃべくり漫才の正統派として長年活躍している漫才コンビ、「オール阪神・巨人」のオール阪神さんとオール巨人さん、
◇上方歌舞伎の伝統的な技法の体現に取り組んでいる、四代目・中村鴈治郎さんらが受章します。

春の褒章の受章者は例年4月に発表されますが、ことしは皇位継承に伴って、天皇陛下の即位後に日程が変更され、20日、発表されました。

受章者は、今月30日に、皇居で天皇陛下からおことばを受けることになっています。

紫綬褒章 歌手の石川さゆりさん

紫綬褒章を受章する歌手の石川さゆりさんは、熊本県出身の61歳。

昭和48年に「かくれんぼ」でデビューし、昭和52年には「津軽海峡・冬景色」が大ヒットして一躍人気を集めました。

昭和61年には「天城越え」で数々の賞を受賞したほか、その後も多くの曲を発表しています。
透明感のある高音を生かした節回しが特徴で、NHKの紅白歌合戦にはこれまでに41回出場しているほか、来年放送される大河ドラマ「麒麟がくる」への出演も決まっています。

受章について石川さんは「本当にうれしい思いです。やってきたことは間違いじゃないぞと言っていただけたような、叱咤激励ではないかと思っています」とにこやかに話しました。
そのうえで、「歌というのはどんな人にも寄り添えるものです。おじいちゃんも若い人も、困難を抱えた人もうれしいことに囲まれた人にも、吹く風のように隣に寄り添って、『よかったね』という気持ちをより膨らませたり、『元気を出せよ』と励ましたりする。皆さんの思い出として共にいられるとしたら、歌い手として幸せです。これからもそういう歌を作っていきたい」と意気込みを述べていました。

紫綬褒章 建築家の隈研吾さん

紫綬褒章を受章する建築家の隈研吾さんは、横浜市出身の64歳。
小学生の時に開かれた昭和39年の東京オリンピックで建設された国立代々木競技場に魅せられて建築家を志し、東京大学で建築を学んだあとアメリカ・コロンビア大学の客員研究員などを経て、平成2年に自身の事務所を設立しました。

東京港区の「根津美術館」や栃木県那須町の「石の美術館」、高知県梼原町の庁舎など、木材を中心に自然の素材を生かした環境と調和した作品で知られ、海外でも高い評価を受けています。
来年開かれる東京オリンピック・パラリンピックのメインスタジアムとなる新国立競技場のデザインも担当しています。

受章について隈さんは「素材にこだわってこれまで40年仕事を続けてきたが、それを評価してもらえたと思うのでうれしい。私一人ではなく、仕事に関わる仲間のおかげだと受け止めている。令和元年に頂けるとあって、新しい時代や転換を求められていると感じていて、受章をはずみにこれからも仕事に励みたい」と喜びを語っていました。
そのうえで、今後の仕事について、「オリンピックは子どもにとって大事件で、私も大きく影響をうけた。今またオリンピックに関わることができていることがうれしく、子どもたちにいい影響を与えたいし、そうできるよう頑張りたい」と話していました。

紫綬褒章 囲碁棋士の趙治勲さん

紫綬褒章を受章する囲碁棋士の趙治勲さんは、韓国・プサン(釜山)出身で千葉市在住の62歳。

6歳の時に囲碁を学ぶために日本に渡り、昭和43年に当時の最年少記録となる11歳9か月の若さでプロ入りしました。

昭和51年に当時最年少での七大タイトル獲得を果たし、その後、棋聖、名人、本因坊を独占する「大三冠」を史上初めて達成したほか、本因坊戦では10連覇を果たすなど、トップ棋士として活躍を続けてきました。

これまでの七大タイトルの通算獲得数は、井山裕太四冠に次いで2番目に多い「42」で、名誉名人と二十五世本因坊の称号を持っているほか、タイトル通算獲得数の「74」は、現在も史上最多記録となっています。

趙さんは「受章のことを聞いたのはだいぶ前でしたが、ないしょにしなさいということで、こうして話せることがこの上なく幸せです」と喜びを語りました。
そのうえで、「何年か前から、自分にはもう頂上で戦う力量はないと感じていて、今が6合目なら7合目を目指して頑張ろうと自分なりに勉強してきました。今回の受章をいただいたことで、もう一度頂上を目指したい気持ちになりました」と思いを述べていました。
紫綬褒章を受章する小説家の川上弘美さんは、東京出身の61歳。

高校の教員などを経たあと、平成6年に短編小説「神様」で作家デビューし、平成8年に「蛇を踏む」で芥川賞を受賞しました。

日常と非日常が混じり合う幻想的な小説や恋愛小説などを数多く発表し、これまでに国内の多くの文学賞を受賞しているほか、芥川賞の選考委員を10年以上にわたって務めています。

川上さんは、「文学賞は1つの小説に対していただくことがほとんどですが、この受章は今までの仕事全体を『頑張ったね』と励ましていただいていると思うので、またひとしおありがたいです。これだけ書き続けられたのは、昔から小説を書いてきたたくさんの先人がいたからだと改めて感じていて、小説という分野に入れたことの幸運を思い返しました」と受章の喜びを語りました。
そのうえで、今後の抱負について、「できることしかやらなくなるのは嫌だと思っていて、失敗してもいいから無理なこともしてみたい。結果的にうまく書けなくても恐れずに新しいことをしたいと思います」と述べていました。

紫綬褒章 漫才コンビのオール阪神・巨人さん

そろって紫綬褒章を受章する漫才コンビのオール阪神・巨人さんは、昭和50年にコンビを結成して以来、上方を代表する漫才師として第一線で活躍してきました。

オール巨人さんは大阪市出身の67歳、オール阪神さんは大阪泉大津市出身の62歳で、昭和49年に巨人さんが、そして翌年に阪神さんが当時、吉本新喜劇で活躍していた岡八郎さんに弟子入りし、本格的にお笑いの道に入りました。

昭和50年にコンビを結成して早くから頭角を現し、計算された巧みな掛け合いは正統派の漫才として人気を博して当時の漫才ブームをけん引しました。

平成22年にオール巨人さんがC型肝炎でおよそ1年半にわたって治療に取り組み、ことしに入ってオール阪神さんが軽い脳梗塞で入院するなどしましたが、それぞれ復帰してからは以前と変わらない漫才を披露しています。

また、若手漫才師の育成にも積極的に取り組むなど、上方の漫才界を代表する存在として引き続き高い人気を誇っています。

受章が決まったことを受けて2人はそろって会見し、オール巨人さんは「老若男女に笑ってもらえるネタをやってきたのが評価されたのかなと思います。デビュー50年も間近になってきたので、今回の受章を機にもう少し、新しいネタで頑張っていきたいです」と話していました。
また、オール阪神さんは「脳梗塞で入院して、このまま漫才ができなくなるのかなと思っていましたが、舞台にも復帰してすばらしい紫綬褒章をいただくことができ、ありがとうございます。一生懸命やってきてよかったです」と話していました。

紫綬褒章 歌舞伎俳優の中村鴈治郎さん

紫綬褒章を受章する歌舞伎俳優の中村鴈治郎さんは、京都府出身の60歳。

歌舞伎俳優で人間国宝の坂田藤十郎さんと扇千景さんの長男として生まれ、昭和42年に8歳で初舞台を踏みました。

「立役」と「女方」をともにこなす芸の幅広さと、やわらかなしぐさやせりふ回しなどの高い技術で知られ、平成27年に上方歌舞伎の大名跡、「中村鴈治郎」を父から受け継いで四代目として襲名しました。

上方歌舞伎の伝統的な演目にも意欲的に取り組み、技の継承にも尽力しています。

鴈治郎さんは「60歳という節目の年に受章させていただくことは、また芸を一から見つめ直す機会を与えていただけたのかなと思います。今後は家の芸をはじめとして、父のやってきた鴈治郎を見直して、立役、女方限らず取り組んでいきたい」と話していました。

記事の内容は作成当時のものです

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