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iPS細胞から作った目の角膜移植 条件付きで了承 国の部会

2019.03.05 :

iPS細胞から作った目の角膜の組織を患者に移植して、視力を回復させる大阪大学などの臨床研究が国の部会で条件付きで了承されました。iPS細胞を使った角膜の再生医療は世界で初めてで、角膜移植を待つ患者の新たな選択肢になるか注目されます。

厚生労働省の部会で了承されたのは、大阪大学の西田幸二教授らのグループが計画している臨床研究で、角膜が濁って視力が大きく低下し、失明することもある「角膜上皮幹細胞疲弊症」の患者4人にiPS細胞から作ったシート状の角膜の組織を移植し、1年間、安全性と有効性を確認します。

国の部会は5日、計画について審議し、患者4人のうち2人が終わった段階で国の部会に報告することなどを条件に了承しました。

iPS細胞を応用した角膜の再生医療は世界で初めてで、臨床応用に向けた国の手続きが終わったのは目の網膜の難病やパーキンソン病、それに重い心臓病などに続いて6件目です。

計画では元になるiPS細胞は京都大学で保管されているものを使い、数百万個の細胞で角膜の組織を作る計画で、拒絶反応を抑える免疫抑制剤については2例目までは使用して、その後は状況をみて、使用するか検討することにしているということです。

グループは今後、対象となる患者を選定し、早ければことし6月から7月ごろには1例目の移植を行いたいとしています。

厚生労働省によりますと、角膜の移植はアイバンクに事前に登録した人などが亡くなったときに角膜を提供してもらい行っていますが、提供者が減っていて、去年3月の時点で角膜の移植を待つ人の数は全国で1600人余りいるということです。

グループでは、安全性と有効性が確認できれば対象となる病気を広げていきたいとしています。

西田教授は「ここからがスタートで、安全に迅速に臨床研究を行い、早く標準的な治療になるよう実施していきたい。角膜移植では角膜を提供してくれるドナーが不足しており、補うような役割を果たせればと思っている」と話していました。

臨床研究計画と角膜移植の現状

今回の臨床研究の対象となるのは「角膜上皮幹細胞疲弊症」と呼ばれる病気で、角膜の最も外側にある「角膜上皮」と呼ばれる組織が病気やけがなどで傷ついて白く濁り、視力が低下するほか、悪化すると失明することもあります。

国内の患者数は500人ほどと推定されていて、現在は主に亡くなった人から提供された角膜を移植することによって治療が行われています。

今回の臨床研究の計画ではiPS細胞を使ってシート状の「角膜上皮」を作り、4人の患者に移植する計画です。

「日本アイバンク協会」などによりますと、角膜を提供するために事前に登録している人の数は平成4年に7万人余りいましたが、去年3月の時点では、およそ1万人に減少しています。

角膜を提供した人は年間およそ850人になのに対して、さまざまな角膜の病気で移植を待つ人は1600人以上いて、すぐには移植を受けられないことが課題になっているということです。

記事の内容は作成当時のものです

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