STORY

「はやぶさ2」 牙をむく小惑星

2019.02.06 :

地球からおよそ3億キロ離れた小惑星「リュウグウ」の上空で、着陸に向けた準備を進めている日本の探査機「はやぶさ2」。

JAXA=宇宙航空研究開発機構は、今月22日に小惑星への着陸を実施し岩石の採取に挑戦すると発表しました。

ミッションはいよいよ山場を迎えることになります。

はやぶさ2 いよいよ着陸へ

探査機「はやぶさ2」は去年10月の着陸を予定していましたが、小惑星の表面が予想以上に岩に覆われていることがわかり、着陸時期を延期して、着陸する場所と方法の検討を進めていました。
そして6日、JAXAは日本時間の今月22日の朝に着陸を実施し、小惑星の岩石の採取に挑戦すると発表しました。

着陸地点と着陸方法

今回ねらう着陸地点は小惑星「リュウグウ」の赤道の少し北側にあるJAXAが「L08ーE1」と名付けた直径6メートルほどの狭いエリアです。

当初は直径100メートル程度の平たんなエリアを探して、その中のどこかに着陸する計画でしたが、「リュウグウ」の表面を撮影した写真などを検討した結果、リュウグウは予想以上に岩で覆われ大きな石が多く存在することが判明、機体や太陽光パネルが接触せずに安全に着陸できる平たんな場所が限られていることがわかりました。
より狭い場所へ正確に降りることが求められたプロジェクトチームはリュウグウの地形の詳細なCGをつくるなどして着陸地点と着陸方法の再検討を行いました。

その結果、去年「はやぶさ2」が事前に投下したターゲットマーカと呼ばれる目印が近くにあり、高さが60センチを超える岩石がなく、表面の凹凸も少ない、直径およそ6メートルのエリア「L08ーE1」が適していると判断したということです。

着陸の方法も「ピンポイントタッチダウン」と呼ばれる手法をとることになりました。

この着陸方法のポイントはターゲットマーカです。
直径10センチのボールの形をしたターゲットマーカは、光を反射することから「はやぶさ2」を導く目印となります。

ターゲットマーカは着陸地点の中心からおよそ5メートル離れた場所に落下しています。

高度2万メートルから徐々に降下してきた「はやぶさ2」は、およそ45メートルまで小惑星に接近したところでこの目印をカメラでとらえます。
その後、さらに高度を下げておよそ8メートル50センチまで降りてきたところで水平移動を開始、目印を基準にしながら飛ぶ方向や機体の角度を修正して着陸地点へ的確に近づき、ピンポイントでねらった場所に機体を着陸させることができるということです。

岩石採取装置の仕組みは

「はやぶさ2」は機体の下に「サンプラホーン」と呼ばれる岩石を採取するための長さおよそ1メートルの筒状の装置がとりつけられています。

着陸した瞬間、機体の下から重さ5グラムの弾丸が秒速300メートルの速度で打ち出され地表の岩石を細かく砕きます。
細かく砕かれた岩石は弾丸が撃ち込まれた反動で「サンプラホーン」の中を舞い上がり、機体に回収される仕組みです。

また、「はやぶさ2」の「サンプラホーン」の先端の部分は内側にむけて数ミリ程度の折り返しがあります。

これは「はやぶさ」初号機で弾丸が発射されないトラブルがあったことを踏まえた対策です。

弾丸が発射されなくても、装置の先端が地表に接したときに折り返しの部分に地表にある砂が付着し回収できる可能性をねらった工夫です。

「難しい着陸に」

会見でJAXAの津田雄一プロジェクトマネージャは、「非常に技術的にレベルが高い着陸を行うことになる。着陸地点の岩のひとつひとつの形を全部気にして評価をするなどこんな厳しいものになるとは思わなかった。例えると当初は校庭のトラックの内側ならどこでもいいから降りようと計画していたものを途中からレーンと細かい場所まで指定された感じ。ようやく場所と方法が決まったので、計画どおりにできるよう、全力を尽くし、頭の温度を下げてクールにやりぬきたい」と決意を語りました。

世界が注目 はやぶさ2

「はやぶさ2」は14年前に小惑星「イトカワ」に到達し、世界で初めて小惑星の微粒子を地球に持ち帰った「はやぶさ」初号機の成果を踏まえて計画されました。
「はやぶさ2」は地球と火星の軌道の間にある小惑星「リュウグウ」から岩石を採取して、水や有機物の存在を確認することで生命の起源に迫ろうというもので「リュウグウ」には合わせて2回から3回の着陸を予定しています。

JAXAでは今後の準備で問題が発生しなければ着陸予定日の1日前の今月21日午前8時ごろから高度2万メートルで待機している「はやぶさ2」を小惑星に向けて降下させ着陸は22日午前8時ごろを予定しています。
探査機を小惑星に飛ばして岩石などを持ち帰る技術は日本が世界をリードしていて、「はやぶさ2」のミッションの成否に大きな注目が集まっています。

科学文化部記者

鈴木有

平成22年入局。初任地の鹿児島放送局では、種子島のロケット取材などを経験。平成27年から科学文化部で文部科学省を担当。現在は、主に宇宙、科学分野を取材しています。

鈴木有記者の記事一覧へ

記事の内容は作成当時のものです

STORY一覧に戻る