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免疫抑制剤使用の子どもに安全にワクチン接種を 臨床研究へ

2019.02.25 :

免疫を抑える薬を使っているため、水ぼうそうなどのワクチンを接種できない子どもたちが接種を見送ったあとに感染症で死亡した事例が報告されていることから、全国の専門の医師が協力して、安全にワクチンを使用する方法を検討する臨床研究が始まることになりました。

難病の治療や移植手術などで免疫抑制剤を使っている場合、水ぼうそうなどの一部のワクチンは、接種するとその感染症を発症してしまうおそれがあり、原則使用できないことになっていますが、ワクチン接種を見送ったあとに子どもが水ぼうそうで死亡する事例が起きています。

このため、全国各地の小児科の医師などが協力して、安全にワクチンを接種する方法を検討する臨床研究を来月から始めることになりました。

対象となるのは、腎臓の機能が低下するネフローゼ症候群という病気や、臓器移植を受けたあとの治療で免疫抑制剤を使用している子どもなどで、およそ2000人を選びます。

ワクチンの接種は、専門の医師が免疫の状態を細かく検査するなどして慎重に実施するということです。
臨床研究の責任者を務める国立成育医療研究センターの亀井宏一医師は「すべての患者に接種していいわけではないが、問題のない子どもには接種の機会を作れるようにしたい」と話しています。

生ワクチンと死亡事例

ワクチンの中には、生ワクチンと呼ばれる毒性を弱めているものの感染する能力がある病原体を使ったものがあります。

健康な人は生ワクチンを接種しても毒性が弱いので、重い症状は出ず、免疫ができるため、その病気を予防することができます。
しかし、免疫抑制剤を使用していると、毒性が弱い病原体であっても感染して発症してしまうおそれがあるため、原則として生ワクチンの使用は禁忌とされ、接種できないとされています。
その一方で、平成24年までの10年間に、免疫抑制剤を使っているためにワクチンを接種できなかった3人の子どもが、水ぼうそうを発症して死亡したことが分かっています。

研究を行う医師は、こうした事例について、水ぼうそうのワクチンを安全に接種できれば防ぐことができた可能性があると考えています。

今回の臨床研究で、免疫抑制剤を使用している子どもにワクチンを接種するときには、事前に免疫の状態を調べて、生ワクチンで重症化するおそれが低いことを確認したり、症状が出たときにすぐに対処する態勢を整えたりして、慎重に実施したいとしています。

免疫抑制剤服用 感染症にかかりやすく

関東地方在住の4歳の男の子です。去年4月、顔にむくみが現れ、その後、ネフローゼ症候群と診断されました。

ネフローゼ症候群は腎臓の機能の低下や体がむくむ症状が出る難病で、毎年1000人ほどの子どもが新たに発症するとされ、治療のために免疫抑制剤が使われるケースがあります。

この男の子はこれまでに3回入院して治療が行われ、現在は自宅にいて1日に2回免疫抑制剤を服用しています。そのため、感染症にかかりやすいということで、発熱することも多いと言います。

今月も肺炎になり、39度の高熱が続いて1週間余り入院しました。退院後も、感染症への不安から10日たっても幼稚園には行っていません。

男の子とその家族は、特に気をつけている感染症があります。水ぼうそうです。

水ぼうそうはワクチンで予防でき、子どもの時に2回、定期接種することになっています。

この男の子は1回、ワクチンを接種しましたが、その後、免疫抑制剤を使うようになったため、2回目のワクチンを接種しておらず、検査をしたところ、水ぼうそうに対する免疫は十分にはないことがわかりました。

このため、外出時にはマスクを必ずして、人混みや水ぼうそうの流行が確認された地域には出かけないほか、狭い場所に多くの人がいるバスや電車などを使った長時間の移動もふだんから避けていると言います。

そのため、旅行は難しいほか、多くの時間を家の中で過ごしています。
母親は「水ぼうそうで亡くなることもあるので、本当に怖いです。遊んだり出かけたりという元気な子であれば普通にできることが制限されているので、ワクチンを接種して少しでも安心した生活を送りたいです」と話していました。

記事の内容は作成当時のものです

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