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原子力機構 全国の関連施設の廃止費用 3兆3000億円の可能性

2019.02.09 :

原子力の研究を半世紀以上にわたり担ってきた日本原子力研究開発機構は、全国に79ある原子力関連施設の解体などの廃止費用に1兆9000億円かかるとする試算を公表していましたが、この間の施設の維持費を含めると総額で3兆3000億円ほどにのぼる可能性があることが分かりました。作業は70年ほどかかるとされ、維持費の削減が大きな課題です。

原子力機構は、去年12月、茨城県にある再処理施設や福井県にある高速増殖炉「もんじゅ」など、79の原子力関連施設の解体などの廃止費用が1兆9100億円になる試算を公表した一方、作業が終わるまでに70年ほどかかるため、その間の維持費は算定が難しいとしていました。

これについて原子力機構は、現在、年間で400億円かかっているすべての施設の維持費を参考に、解体に合わせて一定の割合で減少していくと仮定して計算したところ、70年間で1兆4000億円ほどかかると試算していることが分かりました。
このため、施設の廃止にかかる費用の総額は3兆3000億円ほどにのぼる可能性があります。
原子力機構は「予算の規模感をイメージするために出したもので、詳細な計算ではない」としています。

維持費は施設の解体が遅れるほど膨らんでいくことになり、原子力機構は早期に解体を進められるよう対策を検討しています。

費用のほとんどが税金で賄われる中、どれだけ国民負担を抑えられるのかが大きな課題です。

費用の削減をどうする?

原子力機構の関連施設の廃止をめぐっては、原子力委員会が先月、提言をまとめていて、ヨーロッパやアメリカは、国の原子力の研究開発施設の廃止には、国の予算が長期間、継続して手当てされているとしたうえで「所管省庁の文部科学省もそのような予算確保ができるよう配慮すべきだ」としています。
そして、原子力機構には「安全確保を大前提に合理的な廃止措置を進めることで、費用の低減に努めるべきだ」としています。

費用の低減のためには1兆4000億円ほどと試算した施設の維持費を削減する必要がありますが、維持費は施設の解体が遅れるほど膨らんでいきます。

解体を早期に行えば施設の維持費を削減できる一方、解体などに当てる予算は年間200億円程度で、作業のピーク時により多くの予算が必要です。
このため原子力機構は、去年12月「長期の借り入れによる資金の確保など、柔軟なファイナンスを可能とする仕組みづくりを国に働きかけていく」としました。

これに対し文部科学省は、借り入れには法律の改正が必要だとしたうえで、借り入れをした場合、どの程度、予算を削減し、廃止期間を短くできるのか見極めがついておらず、反対に、借り入れで発生する金利の支払いで全体のコストが増えるおそれもあるとして、原子力機構に具体的な説明を求めています。

このほか原子力機構は、空港や街づくりの事業など公共インフラの整備や運営を民間の事業者に委託する「PFI」を、原子炉などを除く施設の廃止に活用できるかも検討しているということですが、費用のほとんどが税金で賄われる中、どれだけ国民負担を抑えられるのかが大きな課題です。

記事の内容は作成当時のものです

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