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86歳 三浦雄一郎さん 南米最高峰へ登山開始

2019.01.18 :

86歳で南米最高峰「アコンカグア」の登頂に挑戦する冒険家の三浦雄一郎さんは、日本時間の18日夜、ベースキャンプを出発し、登山を開始しました。
順調に進めば、4日後の今月22日ごろ、山頂に立つ見通しです。

 

※日本時間の21日未明、心臓に持病のある三浦さんの体調を考慮して、同行している医師の判断により、登山の中止が決まりました。

いよいよ登山を開始

三浦雄一郎さん
86歳の冒険家、三浦雄一郎さん。
アコンカグア
次なる冒険の舞台は、アルゼンチンのアンデス山脈にある南米最高峰「アコンカグア」です。

標高は、およそ6960メートル。強風などもあって、登頂成功率は30%ほどという難しさです。
今月10日、三浦さんは、アルゼンチンの標高4200メートルのベースキャンプに入り、空気の薄い環境に体を慣らすなど、登山の準備を進めてきました。

現在の体調について、三浦さんは。
「2、3日たったら慣れました。ただやっぱり、高齢のいろんな老化現象ということが高い山に入って切実に感じます」

登山の計画は

三浦さんは、日本時間の18日夜、ベースキャンプを出発して登山を開始しました。

天候などの条件に恵まれれば、登山開始から5日かけて、「アコンカグア」の山頂を目指す計画です。
(1日目/18日)
初日は標高4200メートルのベースキャンプから5580メートル地点までヘリコプターで移動したあと、290メートル登って最初のキャンプ地に到着します。

(2日目/19日)
2日目は230メートル登り、今回の登山で初めて標高6000メートルを超えて、6100メートルのキャンプ地まで進みます。

(3、4日目/20、21日)
3日目と4日目はそれぞれ280メートルずつ登り、4日目に標高6660メートルの最終キャンプ地に着きます。

(5日目/22日)
そして5日目に、今回の登山で最大の難所とされる「グラン・カナレータ」という足場の悪いがれ場の急斜面を通って300メートル登り、標高約6960メートルのアコンカグアの山頂に到達します。
登頂後はその日のうちに最終キャンプ地まで戻る計画です。

(6日目/23日)
6日目は本格的に下山を開始し、約700メートル下って標高5970メートルのキャンプ地まで戻ります。

(7日目/24日)
7日目は標高5500メートルのキャンプ地まで下山し、途中、雪の状態が良ければスキーでの滑降を行う予定です。

(8日目/25日)そして8日目、標高5500メートルからヘリコプターでベースキャンプに戻り、一連の登山活動を終えることになっています。

冒険家としての軌跡

冒険家でプロスキーヤーの三浦雄一郎さんは、青森県生まれの86歳。

父親の影響で幼い頃からスキーをはじめ、北海道大学在学中には、アルペンスキーの選手として活躍しました。
その後、プロスキーヤーとなり、30代前半でスキーのスピード記録を競うイタリアの国際大会に日本人として初めて参加し、当時の世界記録で優勝して注目を浴びました。

また、37歳の時には、エベレストの標高8000メートル地点からパラシュートを背負ってスキーで滑降し、その様子を記録した映画「エベレストを滑った男」がアカデミー賞の長編ドキュメンタリー映画賞を受賞。冒険家として世界的に知られるようになりました。

さらに、世界7大陸の最高峰すべてをスキーで滑るという目標を掲げ、53歳の時、今回、登頂に挑戦する南米最高峰のアコンカグアでその目標を達成しました。

エベレスト 世界最高齢登頂

その後、いったん冒険から離れた時期もありましたが、60代半ばに差しかかったところで、「70歳でエベレストに登る」という新たな目標を掲げて5年近くかけて体を鍛え直し、70歳の時、世界最高峰の登頂を成し遂げました。
さらに、75歳で2度目の登頂に、6年前には、世界最高齢の80歳で3度目の登頂に成功しました。

その記録は現在も破られておらず、ギネス世界記録に認定されています。

体力の衰えも

ただ、86歳となり、体力の衰えは進んでいます。

心肺の機能は80歳当時の60%に。不整脈の持病もあります。
太ももの筋力も80%に低下し、今回、低い山へ繰り返し登るトレーニングを増やすなど、工夫してきました。
「だんだん高齢化社会に突入していますが、年をとってもまだまだやれるんだ、大げさに言いますと、人類のアンチエイジングへのチャレンジというつもりで、アコンカグアにチャレンジしたいと思っています」

焦らず、慌てず、あきらめず

16日、登山を前に、ベースキャンプでNHKの電話インタビューに応じ、抱負を語った三浦さん。

86歳での新たな挑戦が成功するのか、注目されます。
「山に登るための運動機能は年相応に落ちていますが、それに応じた登頂プランをしっかりと組み立て、エベレストに登るくらいの準備をしました。焦らず、慌てず、諦めずという気持ちで、超高齢者独特の自分のペースを守りながら、頂上まで行ってみたい」


※日本時間の21日未明、心臓に持病のある三浦さんの体調を考慮して、同行している医師の判断により、登山の中止が決まりました。

科学文化部記者

春野一彦

平成15年入局。鹿児島局を経て、科学文化部で主に宇宙分野を担当。小惑星探査機「はやぶさ」の地球帰還をオーストラリアの砂漠で目の当たりにした。その後、京都局で「iPS細胞」の取材などを担当し、平成30年から再び科学文化部で取材。

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