COLUMN

地球の中心への探検 発見されたのは

2019.01.05 :

地球の内部、地下数千メートルの地底に、多様な微生物が生息する巨大な生物圏が築かれていると、世界各国の研究者が参加する国際プロジェクトが報告しました。
いったい、どんな生物圏なのでしょうか。

地球内部を探る国際プロジェクト

報告をまとめたのは、国際プロジェクト「ディープ・カーボン・オブザーバトリー」。

アメリカの「アルフレッド・P・スローン財団」が出資して、2009年に始まり、世界52カ国、1000人以上の研究者が参加するプロジェクトです。

日本からも、JAMSTEC=海洋研究開発機構の研究者が参加しています。
プロジェクトは、地球内部の構造やエネルギー、生態系などを調べようと、地下5000メートルを超える鉱山の掘削抗や、海底を2500メートルほど掘り下げた地層など、世界各地のおよそ100地点で調査してきました。

想像を超える微生物の世界

このほどまとまった、この10年間の研究成果をまとめた報告に記されていたのは、私たちの想像を超えた、細菌や古細菌などの微生物が織りなす地底の生物圏の存在でした。
Candidatus Desulforudis audaxviator(水が放射線分解する際の水素などをエネルギー源にする細菌)
海底の熱水が噴き出す場所で120度を超える環境でも生息できる微生物。

岩石をエネルギー源とする微生物。

メタンや硫酸からエネルギーを得る微生物。

過酷な環境で独自の進化

各地で採取したサンプルの分析から、実に様々な微生物が確認され、1つの個体が、数千年から数万年も生き続けると考えられる微生物も見つかっています。
日本の沖合の海底から地下2.5キロの地層で発見された古細菌の1種
Altiarchaeales(ドイツの硫黄泉で発見された古細菌)
光が届かず、高温・高圧で、エネルギー源も乏しい過酷な地底の世界。

地上とは大きく異なる環境で、微生物たちは独自の進化を遂げてきたといいます。

広大な生物圏が地球内部に

海底でメタンをエネルギー源に生息する微生物のかたまり
しかも、地球内部で生物が存在しうる領域は23億立方キロメートルと、実に海の体積の2倍

この中に、地球全体の微生物の70%が存在すると考えられるということです。

地球内部は「陸・海に次ぐ、第三の生物圏」

海洋研究開発機構 海洋掘削科学研究開発センター 稲垣史生 上席研究員
プロジェクトに参加している海洋研究開発機構の稲垣史生 上席研究員は、「地球内部は、陸・海に次ぐ、第三の生物圏ともいえ、まだほとんど明らかになっていない。地球内部で生命が生存しうる限界がどこなのかということもわかっていない。
地球内部の過酷な環境の生態系を調べれば、地球になぜ、生命が誕生したのか、火星など、ほかの惑星にも生命が存在するのか、といった問いに新しい視点を与えてくれる」と話しています。

※プロジェクトの報告はこちらから
https://deepcarbon.net/life-deep-earth-totals-15-23-billion-tonnes-carbon
※NHKサイトを離れます

科学文化部記者

横川浩士

平成13年入局。仙台局・静岡局を経て平成21年から科学文化部で主に原子力分野を取材。平成25年から3年間、アメリカ総局(ニューヨーク)で、宇宙、先端科学、感染症、サイバーセキュリティやアメリカの社会問題を取材。平成28年から2年間、国際部を経て、平成30年から再び科学文化部で主に科学分野を担当。

横川浩士記者の記事一覧へ

記事の内容は作成当時のものです

COLUMN一覧に戻る

関連記事