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ノーベル賞 やっぱり気になる賞金

2018.12.08 :

ノーベル賞の授賞式が11日の未明に行われるスウェーデンのストックホルムでは、連日、最高気温が5度以下の日々が続いています。予想どおり、厳しい寒さの中での取材ですが、クリスマスが近いこともあり、街は買い物客などでにぎわっています。こうした街なかで目に付くのがノーベル賞に関連した掲示やお知らせ。道路沿いに間隔をおいて設けられている電光掲示板でことしのノーベル賞の受賞者の業績をたたえるなど、授賞式にむけて街全体が盛り上がりを見せています。その授賞式ではメダルや賞状が渡されますが、みなさんは賞金も気になるのではないでしょうか。

ノーベル賞の賞金っていくら?

ノーベル賞のうち、経済学賞を除く、医学・生理学賞、物理学賞、化学賞、平和賞、それに文学賞の5つの賞は、アルフレッド・ノーベルの遺言によって1901年に設けられた賞で、賞金はノーベル財団から贈られます。

賞金の額は、ノーベルの遺産を元手にノーベル財団が行っている資産運用によって変動し、かつては1つの賞につき、1000万クローナでしたが、リーマンショックを受けて、2012年から2016年までは、800万クローナに下がりました。2017年からは900万クローナになり、ことしも同じ額で、日本円に換算して、1億1300万円余りとなっています。(4日時点で1クローナ12.58円)このように世界の景気や市場の動向によって賞金額に影響が出るしくみなのです。

研究者1人はいくらもらえるの?

では、賞金はどのように受賞者に配分されるのでしょうか。

ノーベル賞では、平和賞の団体受賞を除いて最大で3人が1つの賞を同時に受賞することができ、受賞者が2人の場合は折半となっています。

したがって今回、医学・生理学賞を受賞する京都大学の本庶佑さんの場合、アメリカのジェームズ・アリソン博士と賞金を折半し、450万クローナ、日本円にして5600万円あまりとなる見込みです。

受賞者が3人の場合、業績への貢献に応じて配分の割合が指定されることになっています。2014年に青色発光ダイオードの開発で、物理学賞を受賞した赤崎勇さんと天野浩さん、それに中村修二さんの3人は賞金を3人で均等に分けられました。

これに対し、2008年に素粒子の理論的な研究で物理学賞を受賞した南部陽一郎さんと小林誠さん、益川敏英さんの3人の場合では、一番貢献したとして、全体の半分を南部さんがもらい、残りを小林さんと益川さんで折半しています。

賞金に税金はかかるの?

日本では、ノーベル賞の賞金には所得税などの税金はかかりません。所得税法の第9条の条文には、「次に掲げる所得については、所得税を課さない」とあり、この中に「ノーベル基金からノーベル賞として交付される金品」と定められています。

一方、経済学賞は、ノーベルの遺言によって設けられた賞ではなく、1968年に(昭和43年)スウェーデン国立銀行が設立した賞で、賞金もこの銀行から賞金が贈られます。

日本人ではこれまでに経済学賞を受賞した人はいませんが、もし受賞者がでた場合、賞金に税金はかかるのでしょうか。

財務省によりますと、所得税法は、日本人で初めてのノーベル賞受賞者となった湯川秀樹さんが、昭和24年に物理学賞を受賞した直後に法律が改正されたということです。

このため、今の法律では経済学賞だけは賞金に対しての所得税を納めなければならないということですが、もし今後、日本人で受賞者が出た場合、法改正をめぐる議論が出るのではないかと話しています。所得税法は日本の法律なので、海外ではいくらノーベル賞といっても賞金に対する税金を納めなければならない国もあります。

先ほど紹介した、2014年に物理学賞を受賞した中村修二さんはアメリカ国籍を取得しています。

関係者によりますと授賞式のあと中村さんは、「同時に受賞した3人のうち、自分だけは賞金に対する所得税をおさめなければならない」と愚痴をこぼしていたようです。

また、現地時間の6日に行われた記者会見の中で、ことしの医学・生理学賞に選ばれたアメリカのジェームズ・アリソン博士は賞金を何に使うか聞かれ「税金を払わなければいけない」と言ったのに対して、本庶さんはユーモアを交えながら「私は税金を払う必要が無い」と応じていました。

ノーベル賞の賞金って世界でも最高額なの?

ノーベル賞は世界で最も権威のある賞ですが、賞金額としては、さらに上回る賞もあります。例えば、アメリカの大手IT企業、グーグルやフェイスブックの創業者らが設立した財団が、優れた科学者に贈る、「ブレイクスルー賞」は、賞金額が300万ドル、日本円にして3億円以上もあります。

「ブレイクスルー賞」は、ノーベル医学・生理学賞を受賞した大隅良典さんが2016年に受賞したほか、京都大学の森和俊さんが去年、受賞しています。

国内でもことしから、賞金額をノーベル賞並に引き上げて話題となった賞があります。

京都市にある稲盛財団が毎年、科学や芸術の発展に貢献した人に贈っている「京都賞」です。かつて、賞金は5000万円でしたがことしから賞金額を2倍の1億円に増額することで、京都賞の権威をより高めようという狙いだということです。

京都局記者

岡本賢一郎

平成16年入局。鳥取局・松江局を経て、平成22年から科学文化部で主に原子力分野を取材。平成30年から京都局で、医療や学術取材を担当する傍ら、文化取材にも進出中。

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