退院できない子ども 厚労省が実態調査へ

虐待を受けて入院した子どものうち、治療が終わったにもかかわらず退院できなかった子どもが、去年までの2年間で少なくとも350人余りいたことがわかったことを受けて、厚生労働省は退院後の行き先を決める全国の児童相談所を対象に、近く実態調査を行う方針を固めました。





小児科医で作るグループが全国の医療機関を対象に行った調査で、去年とおととしの2年間に親から虐待を受けて入院した子どものうち、治療が終わったにもかかわらず、5日間以上退院できなかった子どもが少なくとも356人いたことがわかりました。

子どもの年齢は1歳未満の乳児が最も多かったほか、退院できなかった期間は最も長い子どもでおよそ9か月に及んでいました。

退院させられなかった理由については、虐待を受けた子どもの受け入れ先を決める児童相談所から、親元にも戻せず児童養護施設などにも空きがないと言われたケースが大半だったことから、厚生労働省は全国の児童相談所を対象に、近く実態を調査する方針を固めました。

調査では昨年度、児童相談所が保護し、治療のために病院に預けた子どもの人数やその入院期間について報告を求めたうえで、治療が終わっても入院を続けたケースの有無や、その理由などについて調べることにしています。

厚生労働省は「必要のない入院が長引くことは子どもの心や体の発達を考えれば不適切だ。まずは実態を把握したうえで、対策を検討したい」としています。

これについて、塩崎厚生労働大臣(7/21時点)は「児童相談所がなぜこうした子どもを病院に放置するのか理解できない。虐待の対応が増えて忙しいという話はあるが子どもの発育に良くないだけでなく、病院にも迷惑をかけている」と述べ、近く全国の児童相談所を対象に実態調査を行った上で、対策を検討することを明らかにしました。

その上で、「子どもが健全に育つ権利を守るためにも、子供に一番あった形での養育を実現したい」と述べ、施設への入所だけでなく、より家庭的な里親への委託や特別養子縁組などの取り組みを進めていく考えを示しました。

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