虐待の疑いへの司法関与
専門家会議で大筋の意見まとまる

厚生労働省の専門家会議は、児童相談所が虐待の疑いがある子どもを保護者の同意がないまま2か月を超えて引き離す場合は、適切かどうかを家庭裁判所が審査するなど、虐待を防ぐ取り組みに司法機関が関与する仕組みを導入すべきだとする意見を大筋でまとめました。


2か月超えて保護の場合、家庭裁判所が審査の仕組み導入すべき

12月12日に開かれた厚生労働省の専門家会議では子どもの虐待を防ぐための新たな仕組みについて、大筋で意見がまとまりました。それによりますと、児童相談所が虐待や育児放棄などを理由に子どもを保護者から一時的に引き離す「一時保護」について、保護者の同意がないまま法律で定められている原則2か月以内という期間を超えて保護する場合は、家庭裁判所が適切かどうかを審査する仕組みを導入すべきだとしています。

法務省などと協議し、具体的な制度作りを検討へ

また、児童相談所の指導に従わない保護者に対しては、家庭裁判所が子どもをどのように育てていくか、計画を作成したうえで、それに従うよう命じるなど介入すべきだとしています。一方、法律の専門家の委員からは、裁判所に福祉の役割を担わせることで、司法の中立性が損なわれかねないなどと慎重な意見も出され、あわせて盛り込まれました。厚生労働省は、今回の意見を踏まえ、法務省などとも協議しながら、具体的な制度作りを検討していくことにしています。


「子ども守る視点で」

子どもを保護者から引き離す「一時保護」の手続きに家庭裁判所の審査を導入することについて、児童虐待に詳しい磯谷文明弁護士は、「子どもを引き離す時には保護者への配慮も必要なので、適正な手続きを確保するうえで家庭裁判所が関与することについては一定の評価ができる」と述べました。

そのうえで、具体的な制度づくりの課題について、「一時保護を継続するには児童相談所がその必要があるという証拠を家庭裁判所に提出することが求められるが、密室で起こる虐待の証拠や子どもの証言を集めるのは容易ではなく、子どもの安全を守れない恐れもある。児童相談所の体制を強化しつつ子どもを守る視点を忘れずに制度づくりを進めていくべきだ」と指摘していました。

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