病院ではチームで対応する取り組みも

埼玉県立小児医療センターでは、放射線科や小児科などの医師や看護師、ソーシャルワーカーなどが「小児虐待対応チーム」を構成し、虐待が疑われる子どもについて、専門的な立場から対応にあたっています。虐待対応チームの活動を取材しました。


「虐待対応チーム」の活動は

児童虐待の対応にあたる埼玉県立小児医療センターで開かれた緊急会議。集まったのは、放射線科や小児科などの医師や看護師、ソーシャルワーカーなど「虐待対応チーム」のメンバーです。児童相談所から、虐待の疑いがある幼児のカルテや写真などが寄せられ、専門的な立場から虐待の可能性を探りました。

両親は否定するも不自然な傷が

当初、別の病院に運ばれたときは、複数の骨が折れ、全身に不自然な傷がありました。しかし、両親は虐待を強く否定。そのため、児童相談所の調査が長引き、治療が終わった後も、県内外の病院を転々としていました。看護師は「皮膚が相当汚いので、養育環境が悪いのではないか」と発言。

虐待の可能性が極めて高い、と児童相談所に報告

形成外科の医師は「親指の爪が変形していて、栄養状態が悪いことがうかがわれる」と指摘しました。さらに、足の骨の異常に気づいた放射線科の医師は、「1回成長が止まった可能性がある。ストレスが加わったことが見て取れる」と指摘しました。チームは、虐待の可能性が極めて高いとして、児童相談所に、継続的に保護する必要があると伝えました。

虐待が疑われたケース のべ1500件

埼玉県立小児医療センターで、子どもの虐待が疑われたケースは、10年あまりで、のべ1500件。治療を終えた後も、長期入院を余儀なくされる子どもが、毎年、十数人いるということです。

10か月入院が続いたケースも

けいれんが止まらず、救急外来に運ばれてきた生後半年の赤ちゃんのケースでは、頭の骨や肋骨が不自然に折れていたことから、医師が虐待を強く疑い、児童相談所に通告しました。児童相談所は、虐待の可能性が高いと判断し、病院に保護を依頼しました。

1か月半後、赤ちゃんは治療で容体が安定しました。児童相談所は、県内の5つの乳児院に受け入れを打診しましたが、すべて断られました。虐待の後遺症で脳に障害があり、専門的なケアが十分に行えないというのが理由でした。最終的に受け入れてくれる施設が見つかるまで、病室のベッドで、看護師がミルクをあげたり、おむつを替えたりする生活が10か月続きました。

入院長期化による心身の成長への影響を心配

鍵本聖一医師は「病院にいるのは、子どもにとって、とてもストレスの多い生活です。もう少し家庭的な雰囲気の中で友だちと遊ぶとか、子どもらしい暮らしができるところの方がよいのですが、病院は、その点で不十分だと言わざるを得ません」と話し、入院が長期化することによる、子どもの体と心の成長への影響を心配しています。

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