退院できない子ども
大阪府で少なくとも168人

暴力や育児放棄などの虐待を受け、治療が終わったあとも受け入れ先がないなどの理由で入院が続く、いわゆる「社会的入院」の状態の子どもが大阪府内で、3年間に、少なくとも、のべ168人にのぼったことが、小児科の医師たちの調査で分かりました。調査をした医師は、「ほかの地域でも起きている可能性があり、全国的な調査をして対策を検討する必要がある」と話しています。


30の施設で、あわせてのべ168人に

「子どもの社会的入院」の調査をしたのは、大阪小児科医会の石崎優子医師らのグループです。グループでは、大阪府内で小児科の入院病床がある106の医療機関を対象に調査を行い、67の施設から回答を得ました。それによりますと、暴力や育児放棄などの虐待を受け、治療が終わったあとも、受け入れ先がないといった理由で入院が続いた子どもは、去年(平成27年)6月までの3年間に、30の施設で、あわせてのべ168人にのぼっていました。

およそ半数は健康状態に問題なくても入院

このうち、詳しい調査ができたのべ76人について、理由などを調べたところ、受け入れ先の乳児院や児童養護施設などに空きがなかったケースのほか、虐待かどうか判断するための調査に時間がかかったケースや病院が、家庭に帰すと再び虐待されると判断して、退院させるのを拒否したケースが多かったということです。またおよそ半数にあたる、のべ32人については、当初から健康状態に問題がないのに、児童相談所などからの依頼で入院させていたことも分かりました。

現在の保険診療制度では、原則、認められていない

グループによりますと、病院は、便宜的な診断名を付けて入院を続ける場合が多いということですが、治療の必要がない子どもを入院させることは、現在の保険診療では、原則、認められていないため、公表されることはほとんどなく、詳しい実態は分かっていないということです。

大阪だけでない可能性も 全国的な調査・対策を

調査をした大阪小児科医会の石崎優子医師は、「病院は、本来、患者を治療する場で、子どもが生活するのによい環境とはいえない。大阪だけでなく、ほかの地域でも同様のことが起きている可能性があり、全国的な調査をして対策を検討する必要がある」と話しています。

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