ヘルプマークを知ってほしい

(2018/9/28 ネットワーク報道部 栗原岳史 玉木香代子)

「ヘルプマーク」をご存知ですか?重い病気にかかっていたり、義足などをつけていたりしている人のほか、妊娠初期の人など、外見から分からなくても援助や配慮が必要なことを周りの人たちに知ってもらうためのマークです。
課題は、十分に知られていないことです。

赤地に白の十字とハートのマークです。知っていました?

知られていないマーク

街を一緒に歩くと、見た目では健康そうな音瀬さんの足取りはゆっくりとしていました。目はほとんど閉じた状態で、一歩一歩、慎重に足を踏み出していきます。

音瀬さんは、18歳のときに白血病を発症。その影響で、白内障や心臓病も患っています。視力が弱く、心臓に負担がかかるため、ゆっくりとしか歩けないのです。

ヘルプマークをつけていますが、その意味を知っている人に出会うことは少ないそうです。

外出先で階段をゆっくりとあがっていると、当たられたりします。常に手すりのある所を探しながら歩いていて、緊張感が途切れないんです。駐車場で障害者のスペースに止めて怒られたこともあります。世の中には、私のような思いをしている人がたくさんいることを知ってほしい(音瀬伊都子さん)

2020年までに

ヘルプマークは、2012年に東京都が作りました。去年7月にはJIS=日本工業規格で定める標準的な規格に追加され、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、援助や配慮を必要としていることを知らせる全国共通の表示として、採用されています。

全国の20の都道府県で配布されるようになりましたが、まだ多くの人に知られるにはいたっていません。記者が新宿の街頭で、マークを知っているかどうか50人に聞いたところ、知っていたのは11人でした。

意味を知れば必ず変わる

音瀬さんは、さまざまな国や地域から人が集まる2020年までに、見た目ではわからない困難を抱える人が住みやすい社会を目指すための活動をしていて、「ヘルプマーク」も日本中に広まってほしいと考えています。
すべての都道府県でヘルプマークが配布されるように自治体に働きかけたり、マークの意味を知ってもらう講演を行ったりしています。

その大切さを次のように話していました。

以前、電車の中で私のヘルプマークを不思議そうに見ていた若い人がいたんです。するとスマートフォンで何か調べ始めたようでした。画面にはヘルプマークが見えました。そして、ふいに席を譲ってくれたんです。
社会が必ずしも不寛容なのではない。マークの意味がきちんと浸透すれば、その人が困っているかどうか想像するのが、当たり前の社会になってくるかもしれない。そう思います。(音瀬伊都子さん)

ヘルプマークについての切実な願いを、なぜ2020年の東京オリンピック・パラリンピックに託すのかという答えは、スポーツの祭典の根本原則を定めた「オリンピック憲章」にあります。

「人間の尊厳の保持に重きを置く平和な社会の推進を目指す」

2020年までの歩みが、私たちの社会をもう一度見つめ直す機会になればと思います。