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19のいのち 障害者殺傷事件

「19のいのち」をたどって

"残虐な事件を、思い出したくないけれど、忘れてほしくない"
あるご遺族が語ってくださった言葉です。
19人の方々を知る人たちが語ってくださった思い出のかけらを集めて、
確かに生きてきた「19のいのち」の証しを、少しずつここに刻んでいきたいと思っています。

2016年(平成28年)7月26日未明、神奈川県相模原市緑区にある知的障害者施設、
「津久井やまゆり園」で入所者など45人が次々に刃物で刺された殺傷事件。
入所者19人が死亡、職員2人を含む26人が重軽傷を負った。

事件の動機について、逮捕された元職員は「障害者はいなくなればいい」などと、
障害者の存在そのものを否定する供述をした。

あの日、19人の命が奪われました。
それから5年の月日を経てこの夏、犠牲となった7人の名前が
遺族によって慰霊碑に刻まれました。
障害があるだけで「生きている価値がない」「不幸をつくる」そう決めつけられ、
理不尽に命を奪われ、匿名となってから初めてのことでした。

ある遺族は「生きていた証しを残したい」と。
ある遺族は、刻まれた名前を見て、本当に亡くなってしまったのだと、
暑い夏の日差しのもとで号泣しながら「忘れて欲しくない」と願いました。
訪れた人たちは、その名に触れ、在りし日の思い出を語り、
自分たちに何ができるだろうと思いを新たにしました。

差別や偏見に深く傷つき、名前を刻むまでに5年を要する現実。
まだこの社会では語れないと思う遺族がいる現実。
あの日から私たちは、この社会は、事件とどう向き合ってきたのでしょうか。
命を奪われた19人に、遺族の願いに、どう答えられるでしょうか。

誰の支えもなく生きている人なんていないこと。誰をも排除しないこと。
“きれいごと”だとしても、その“きれいごと”の実現を諦めないこと。
いつか事件の前とは違った景色が広がるその日まで、考え続けていきたいと思います。

事件から1年半、このサイトを開設して1年が経過しました。
この間、ご遺族や関わりのあった方々から、大切な19人への想いを綴っていただきました。
このサイトを訪れて下さった皆さんからも、多くのご意見やお声を寄せていただきました。
すべてをご紹介できてはいませんが、改めて心より感謝申し上げます。

あの日から、どのような時間が流れてきたのでしょう。
事件や被告の言葉がこの社会にもたらした無数の傷が癒えることがあったでしょうか。
めまぐるしい日々の中で、事件を思い出さなくなった人もいるかもしれません。
"残虐な事件を、思い出したくないけれど、忘れてほしくない"
あるご遺族が語ってくださった言葉です。
どれほど時間がかかっても、それが容易でなかったとしても、
差別のない、誰をも排除しない社会にむけて、
ともに"あすへの一歩"を踏み出していきませんか。
私たちは、あの事件を忘れません。

今回の事件で、警察は犠牲になった19人の方々のお名前を公表していません。
19人おひとりおひとりに、豊かな個性があり、
決して奪われてはならない大切な日常があったはずですが、
私たちはこれまで十分にお伝えすることができずにきたと思っています。
そして、過去に例をみない凶悪な犯罪の衝撃は、事件から時がたつにつれて
社会から薄れていっているように感じています。

私たちは、失われた命の重さを伝え、その痛みを少しでも想像し、
みんなで受け止めていくことで、
再び悲劇を生まない社会を作っていきたいと考えています。
19人の方々を知る人たちが語ってくださった思い出のかけらを集めて、
確かに生きてきた「19のいのち」の証しを、
少しずつここに刻んでいきたいと思っています。

あの日、19人の命が奪われてから3年の月日が経ちました。
あれから私たちは、社会は、あの事件とどう向き合ってきたのでしょうか。
「死んでしまっても仕方のない命」「産まれて来ない方が幸せな命」…
障害のあるなしに限らず、いまも、この社会のどこかで、命に線が引かれているように思います。

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