SDGs(持続可能な開発目標)への関心が高まる中、NHKでは「環境経営アクションプラン(2021～2023年度)」のもと、2025年度末までにCO2排出量を25%削減することを目標に掲げています。照明や空調のエネルギー消費を抑えることはもちろん、番組制作現場では、スタジオの美術セットの 廃棄物を削減することで、環境への負荷を軽減するための取り組みを行っています。

 【視聴者から寄せられた声】

• NHKの「SDGs」への取り組み方が分かるものはあるのか?もしあるなら、それを放送にしっかり生かしてほしい。  (60代男性)
• テレビの舞台裏の紹介や地域の中での番組作り、環境やSDGsを意識した取り組みなどについて話を聞きたい。  (40代男性)
• 受信料で経営されている公共放送なので、率先して省エネを推進すべきだと思う。 (60代男性)

廃材を減らすための3つの“R" 「Reduce」「Reuse」「Recycle」

NHKでは日々多くの番組を制作していますが、これまでは渋谷の放送センターの廃棄物のうち、およそ3分の1をスタジオの「美術セット」からのものが占めていました。視聴者からも環境への関心が高まる中、美術セットのデザインを担当する部署では、去年10月にプロジェクトチームを立ち上げ、廃材を減らすための3つの“R"「Reduce(ごみを減らす)」「Reuse(繰り返し使う)」「Recycle(廃材をリサイクルする)」の取り組みに力を入れています。

①Reduce(ごみを減らす)

背景などをCGにして合成するバーチャルセットを活用して、セットに使用する資材を最小限に減らすことで、廃棄物の抑制を図っています。

「クローズアップ現代」の実物のセット

CGで背景を合成したときの映像

②Reuse(セットの資材を繰り返し使う)

セットを組み立てる柱や壁の素材は、使用後は解体し、再度別の番組のセットに利用されています。セットの一部を共有化することで、制作費の抑制と廃棄量の削減につなげています。

2017年に明石家スポーツで使っていたセットの壁面部分を…

2020年の「NHKスペシャル」でも再利用

③Recycle(廃材をリサイクルする)

セットに使用された廃材のリサイクルを推進しています。金属や木材などの混合廃棄物は手作業で素材別に分別を徹底し、廃棄にかかるコストを削減するとともに、リサイクルの促進を図っています。「あさイチ」では、廃棄された木材や衣料から作られた再生素材をテーブルに使うなど、積極的にスタジオセットに活用しています。

廃棄木材

再生素材を使用した「あさイチ」のセット

こうした取り組みの結果、2021年度に美術セットから出た廃棄物の量は5年前の2016年度に比べて34%減少しました。

【視聴者から寄せられた声】

• 博多華丸・大吉さんと鈴木アナウンサー。おなじみのメンバーなのに、セットがリニューアルされ、あさイチが全く新しい番組に生まれ変わったようだ。(60代男性)
• ハチの巣の形のようなテーブルの素材感がとてもよい。セット全体の雰囲気も明るく感じられるいいものになった。(60代女性)

廃材を使って親子で工作を楽しむイベントも

スタジオセットから出た廃材は、番組制作以外でも活用されています。
福島放送局では8月、セットから出た木片や、番組で使ったビーズや幕などを活用し、親子で好きなものを作るイベントが開催されました。2日間で80組の親子が参加し、講師役のNHKの担当者から、工作材料の廃材や端材がもとはどのように使われていたのか教わりながら、思い思いの作品を仕上げていました。

セットから出た廃材を使った工作

【イベント参加者からの声】

• いろいろな材料があって何を作るか想像をふくらませられたのでよかった。
• 「自由に作る」ということに子供もイキイキしていた。
• テレビセットから出る廃材は家庭にあるものとは違って日ごろ使えないものがたくさんあり、楽しく工作できた。

このワークショップは、大阪放送局や松山放送局でも開かれました。NHKは今後も廃棄物抑制の取り組みを進め、環境への負担の軽減に努めていきます。

環境経営アクションプラン 環境報告書など
https://www.nhk.or.jp/info/pr/kankyou/

未来へ17action NHK・SDGsキャンペーン
https://www.nhk.or.jp/campaign/mirai17/

クローズアップ現代
https://www.nhk.jp/p/gendai/ts/R7Y6NGLJ6G/

あさイチ
https://www.nhk.jp/p/asaichi/ts/KV93JMQRY8/

※内容は、掲載当時のものです。