生理リサーチ#01
生理と性のこと どう教わった? 2022年2月中間報告
2022年12月21日~2022年2月18日までに457件の回答をいただきました。
ご参加くださったみなさま、どうもありがとうございました。性教育やジェンダーが専門の小貫大輔さん(東海大学・教授)がここまでの結果を解説します。
【回答者について】
20代、30代が多く平均年齢は35歳でした。また、性別は「女性」422名、「男性」30名、「答えたくない・その他」が5名でした。
初めて生理を不安な気持ちで体験している
初めて生理を体験したときに「生理用品の使い方」を知っていたという人は、「生理の経験のある人」のうちの63%で、3分の2に満たない数でした。
しかも、「経血がうんちともおしっことも違う出口から出る」ことを知らなかった人が過半数(220人=52%)もいました。
初めての生理のときに、「盛大にウンコ漏らしたのかと焦(った)」とか「尿が赤くなると誤解していた(からわからなかった)」といったコメントがありましたが、大学生からも似たような思い出話をしばしば耳にします。大学生になった今となっては笑い話かもしれませんが、その当時は「病気になった」「死ぬかもしれない」と強い不安に落とされたようです。
アンケートでは、「色や匂いが血液と違って(いた)」、あるいは「茶色いおりもの」や「鮮血ではなく褐色で少量」だったために生理だとは思わず「何か病気かと思った」といったコメントも残されています。
どうしてそんな表面的な知識しか伝わっていないのでしょうか。一つ考えられることは、生理について教えるとき、「性」に近いテーマはついつい避けて通ってしまうからかもしれません。
生理がきても「膣」の存在を知らなかったという人も
アンケートでは、「女性には赤ちゃんの出てくる通り道があること」をいつどのように教わったかについても聞いています。回答を見ると、小学校卒業以前にそのことを教わった記憶のある人は56%しかいませんでした。「生理というものがあること」については、87%が小学校を卒業するまでに誰かから教わっているのに、です。
つい先日も、自分の学生たちにそのこと(「女性には赤ちゃんの出てくる通り道があること」をいつどのように教わったか)を聞いてみたところ、一人の男性学生が真顔で「今初めて知りました」と答えたので、正直腰を抜かしそうになりました。「膣」の存在という、人間の体の当たり前の構造について触れることが、未だ、いかにタブーであるかがうかがえます。
「膣」とは医学的な用語に聞こえますが、では、家庭でそれにかわる言葉があるかというと、そうとも言えないようです。アンケートでは、「膣」にかわる「子どものときの家庭用語」があったかを聞いていますが、なんと66%(59%なかった・7%おぼえていない)が「家庭で使う女性器の名前はなかった」または「おぼえていない」と答えています。
家庭用語がある場合もまちまちで、男性の場合は「おちんちん」という共通語がいわゆる「市民権」をえているのと対照的に、女性の性器には名前がないか、あっても「秘密の言葉」で呼ばれている様子がうかがえます。ちなみに、一番多くあがった「家庭用語」は「おまた(あるいは「また」)」で、回答者の8%がそう答えていました。(婉曲的で隠語のような印象を与えない点が好まれているのかもしれません。)
学校では生理について男女別に教える傾向
小学校で生理の授業を受けたことがない人は5%しかいなかったのですが、なんと68%の回答者が「男女別に授業を受けた」と答えていました。
とすると、男性は何も教えられていないか、女性よりも部分的な知識しか教えられていない可能性があるかもしれません。
とは言っても、男性からはまだ30人(7%弱)からしか回答いただいていないので、はっきりしたことはわかりません。8月までのアンケート公開期間中に、ぜひもっとたくさんの男性視聴者から回答をお寄せいただけたらと思います。
みなさんからの声