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地域づくりナビ

地域を支える仕事を次世代に引き継ぐ

地域を支える仕事を次世代に引き継ぐ

2021年4月14日更新

経営者が高齢化する一方で、事業を継承する人が見つからず、自主的に廃業を選んだ中小企業は、2019年には4万3千件。コロナ禍の影響で、その数はさらに増えると見込まれています。
人びとの生活に必要なモノやサービスを提供し、暮らしを足元で支えてきた中小企業の苦境は、地域全体の持続可能性にかかわる深刻な問題です。 後継者を探し、育て、事業を継続する各地の活動事例を見ながら、地域経済を健康に持続させていくためにできることを考えていきましょう。

後継者が育つ商店街の強さとは

かつては全国の商店街と同様に、高齢化や後継者不足の悩みを抱えていた、埼玉県秩父市の商店街。活気を取り戻し多くの若手後継者が育つようになった背景には、さまざまな工夫の積み重ねがありました。大事にしているのは、地域の人々とのつながりです。

よみがえれ商店街【1/4】ファンを増やして危機を乗り越えた商店街
(埼玉県秩父市)

埼玉県秩父市にある「みやのかわ商店街」。全国で商店街が衰退している中、若い後継者が多く、活気にあふれています。実はこの商店街でも、40年前に市役所が移転したことで、高齢化や後継者不足に苦しんだ時期がありました。その危機を乗り越えるために、さまざまな工夫を凝らして地域にファンを増やしてきたのが、金物屋店3代目の島田憲一さん。今回はその経験を生かして、別のまちの商店街の支援に向かいます。

ふるさとグングン!
商店街に にぎわいを取り戻したい~埼玉・加須市 騎西地区~
(2017年10月29日放送)

つながって商店街の再生を【1/3】再生のヒントはどこに?
(静岡県下田市)

「ペリー来航の地」として知られる静岡県下田市。しかし、駅と観光スポットにはさまれた好立地にもかかわらず、商店街には活気がありません。地域で育つ子どもたちのためにも、なんとか活気を取り戻したい。アイデアを求める地域の商店主たちのもとへ、埼玉県秩父市「みやのかわ商店街」を再生させた手腕で注目を集める島田憲一さんがやってきました。下田市の商店街を歩いてみた島田さん、さっそく再生のヒントを見つけたようです。

ふるさとグングン!
“人のつながり”で商店街の再生を~静岡・下田市~
(2018年10月21日放送)

後継ぎ育成を支える地方銀行

中小企業の事業継続は、地域経済のもうひとつの柱である地方銀行にとっても重要な課題です。神奈川銀行では、後継者不足に悩む経営者の支援だけでなく、自ら事業再生にも取り組み始めました。

地方経済活性化に挑む地方銀行(神奈川県)

地方銀行が、人口減少に直面する地域経済の活性化に、積極的に乗り出しています。神奈川銀行は、取引先の廃業を防ぎ、事業引継ぎを支援するために、「地元企業応援室」を立ち上げました。家族に後継者がいない場合も、運営事業者を探して紹介するなど、地元企業の円滑な事業継承を支援しています。さらに、専門ファンドや企業と協力し、いったん廃業となった事業の再生にも取り組み、地域経済全体を活性化させようとしています。

首都圏ネットワーク
地方銀行はいま「後継者問題」「廃業した事業」に向き合う現場
(2017年6月6日放送)

親族にこだわらない事業継承

後継者不足の原因のひとつは、経営者の子どもが家業を継ごうとしないこと。しかし事業を引き継ぐ担い手がかならず親族である必要はありません。事業を通して地域の人々の暮らしを支え続けようという熱意さえあれば、事業の継承は可能です。ていねいな引継ぎにより、取引先や顧客も安心して後継者と仕事ができます。

地域に元気を取り戻した「第三者継承」(徳島県海陽町)

後継ぎが見つからず、やむをえず廃業する地方の中小経営者が相次いでいます。そうしたなかで注目されているのが、身内でも従業員でもない人が後継者になる「第三者承継」。徳島県海陽町では、後継者を探していたスーパーの店長が、東京から移住してきた夫婦と出会い、意気投合。取引先や金融機関などにも継承のため協力を求めました。地域への貢献という経営理念を引き継ぐ新社長の誕生は、住民たちにも安心と希望をあたえています。

四国らしんばん
求む!後継ぎ
(2020年4月10日放送)

事業を支える人手は意外なところに

すぐに後継者とまではいかなくても、若い働き手が加わることは、事業を継続していくうえで大きな力になります。その人材は、意外に身近なところに隠れているかもしれません。この町では、家にひきこもりがちだった若い人たちが、人手不足の商店街を支える力となることが期待されています。

ひきこもりを地域の力に ~秋田・藤里町の挑戦~(秋田県藤里町)

全国に70万人といわれるひきこもり。秋田県藤里町では、働く世代の10人に1人がひきこもり状態です。その多くは都会で職を失い、地元に帰っても仕事に就けず、周囲の目を気にして孤立していました。地域とのつながりを回復させようと、町では、簡単なボランティアやアルバイトのできる「中間的就労」の場を作ったり、後継者不足の商店街復活に彼らの力を活用する取り組みを開始。30人が職を得るまでになりました。

クローズアップ現代
ひきこもりを地域の力に ~秋田・藤里町の挑戦~
(2013年10月28日放送)

では、消費者にできることは?

後継者にはなれなくても、地域の暮らしを支えてきた中小企業を支えるために、わたしたちにできることはあるでしょうか?  すぐにできることのひとつは、毎日のお金の使い方を変えること。同じ1万円でも、大きな街のスーパーで使うのか、それとも近所のお店を利用するのかによって、こんなに大きな違いを生み出すことができるのです。

●インタビュー「自分たちの手で地域経済をデザインしよう 枝廣淳子さん」