地球温暖化、海洋汚染…。地球を取り巻く大きな問題を聞くと、皆さんはどう感じるでしょうか?「こんなに大きな問題、自分には何もできないかも…」と思ってしまいませんか?こうした大きな問題に、地方から少しずつ取り組む小学校を紹介します。
目次
1 東唐津小学校の小さな一歩
2 ペットボトルのフタがコースターに
3 小学生が「SDGsかるた」作ってみた!
1 東唐津小学校の小さな一歩
その小学校があるのは、九州の佐賀県・唐津市。徒歩5分で、日本三大松原の「虹の松原」と唐津湾に挟まれた白砂青松の「東の浜海水浴場」が広がっている場所。
海を身近に感じるこの学校では、総合学習で環境について考える授業が行われています。しかも授業では、児童たち自身が提案・行動することが求められます。なかでも小学5年生は、「海の環境を守るためにどんなことが必要か」についてこの1年考えてきました。
写真は、東の浜でのごみ拾い。海をきれいにするため、海岸のごみを撤去することを授業時間で行っているのです。もちろん5年生の児童自身の発案です。名付けて「東の浜クリーン大作戦」。去年4月から7月末まで合計8回行い、活動の成果を自分たちでまとめます。
日によっては、20分のごみ拾いで25キロほどのごみが集まることも…。集めたごみは、燃えるごみと燃えないゴミに分別して適切に処理を行っています。
ほかにも、小学6年生は食品ロスを無くすためにどうするか、エネルギーを使うとどうなるかなどを考え、調べたことをまとめることも行っています。
それぞれの問題に取り組むために、「エアコンの設定温度は、夏は28℃、冬は20℃にする」や「買い物に行く前に冷蔵庫をチェックして必要なものだけを買う」など、自分たちができる行動も書き込んでいます。
一つ一つは小さな取り組みですが、こうした小さな心掛けや行動がSDGsの目標達成につながっていくと感じました。
2 ペットボトルのフタがコースターに
他にも、こんな授業が行われています。
地元NPOと協力して、プラスチックについて考える授業。ペットボトルなど使ったらごみとなってしまうものもリサイクルすることができることを学びます。
取材は去年(2021年)12月。この日は地元NPOの小嶋宏明(こじま・ひろあき)さんが授業を行っていました。
小嶋さんは福岡県出身。普段はホームページの作成などを生業にしています。唐津に住んでいる祖父の介護のために、唐津に移住してきました。小嶋さんは、幼いころからよく唐津に来ていたと言います。
「昔はごみも無くて白浜ももう少し白かった。魚もすぐわかるくらいいた」。生活に使われたごみや漂着ゴミなど、理由は様々だが、捨てられているごみの量が多くなっているとも小嶋さんは感じています。そうしたことから、唐津で海に捨てられるごみについて学ぶ授業を企画したと言います。
今回の授業で小学5年生が作るのは、コースター。材料は…。
ペットボトルのフタなどを裁断したものです。小学生たちが東の浜で集めたごみも含まれています。
裁断されたプラスチックを専用の機械に入れ、およそ200℃で熱した後、コースターの型に流し込むことで完成します。
型を開ける瞬間、思わずのぞき込む子どもたち。完成したコースターがこちら。
白地に青の模様が入った六角形のコースターが完成しました。
出来上がった直後は、まだ温かいコースター。子どもたちは、その温かさにも驚きながら、プラスチックを再利用できることを学んでいました。なかには、「家族とか友達でごみを集めたらリサイクルしていきたい」や「きょうも浜に行ってゴミ拾いをするので、集めたプラスチックを(NPOに)あげたい」という声も。
授業を行った小嶋さんは、「唐津の海を守りたい。いまはコロナ禍だけれども、コロナ後に観光客に来てもらうため、きれいな浜を保てるようにしたい」とも話していました。
3 小学生が「SDGsかるた」作ってみた!
海の環境などについて、日ごろから学んでいる東唐津小学校。その小学5,6年生17人が、「SDGsかるた」作りに、先月(1月)挑戦しました。
「SDGsかるた」とは、NHK for Schoolで募集しているもので、SDGsの17の目標別動画を見て、未来のために自分ができる行動などを川柳と絵にして作ります。
かるたを作る前に、まずは「SDGsとは何か」について学びます。
SDGsは国連に加盟する193か国が地球上で起きている様々な問題に2030年までに目標を立てて解決してくことや東唐津小の総合学習で行っていることがSDGsにつながっていることなどを学びました。
さらに、「目標14 海の豊かさを守ろう」についての動画を見てもらいました。「イルカが食べたごみ」や「生活排水と海の汚れ」などの動画を見た5、6年生は、どんな被害があるのかを学びました。
SDGsについて自分たちができることを川柳にまとめることやそれを絵で表現するのに苦労する人もいましたが、全員かるたを作ることができました。どんなかるたを作ったのかも発表しました。
子どもたちが作ったかるたの一部がこちら。
(かんがえて ポイ捨て浜を おせんする)
(生き物が 生きていくため ゴミ集め)
(ちょっとまて へいきでごみを すてるのは)
改めてSDGsについて学んだ小学生たち。自分たちが普段行っているごみ拾いも、SDGsにつながっていることを知るきっかけになったということです。
2022年2月10日
NHKでは、オリジナルのSDGsかるたを募集中です。
詳しくはhttps://www.nhk.or.jp/irotoridori/karuta/step.html
佐賀局アナウンサー 小林将純
2015年入局
松江局を経て現職
潜水アナウンサーとして唐津の海を取材