2022/4/7

「わたしを簡単に分かった気にならないで」

女の子が訴えるものは?

ドールハウスの中に入る女の子・・・? 「君の声が聴きたい」プロジェクトのキービジュアルを描いた久野遥子さんに話を聞きました。

 

今回「君の声が聴きたい」プロジェクトのイラストを依頼されたときのお気持ちは?

繊細なテーマの企画だと思ったのですがそんな企画にお声がけいただいて、とても嬉しかったです。また同時に、自分からはだんだん遠くなっている10代、学生の人たちの目にとまるような響く作品にしたいと思いました。

 

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このキービジュアルのコンセプトは?

私の過去の作品で顔の見えていない女の子が寝転ぶ様子を描いた絵があり、

「その絵の雰囲気が欲しい」という言葉からアイディアを広げました。

アンニュイでありながらキービジュアルにふさわしい意思を感じる絵にしたいと思いました。またほんの少しの毒も忍ばせてみました。

 

特にこだわったところを教えてください。

モチーフ同士のスケール感を大事にしました。

窓の外には誰かが働いたり暮らしたりする灯が見えています。そんな窓のひとつ、小さな部屋の小さなドールハウスの中に女の子がいることで風景となる灯の中にもそれぞれの心があるように感じられたら嬉しいです。

 

少女は何かを語りかけているのでしょうか。

もう人形遊びをする年齢でもなくなった女の子はドールハウスの中からこちらを見ています。小窓から冷静に世界を見ている一方で、大人たちに対して、「わたし(たち)を簡単に分かった気になるなよ」と目線で訴えているようなイメージです。

 

イラストをどんなふうに見てもらいたいですか。

イラストを描くにあたっていろんな思いはありますが、それは作り手の都合でもあるので、まずは単純に絵を見てもらいたいだけです。その上で少しでも何かを感じてもらえたら、それ以上に嬉しいことはありません。

 

久野遥子さん

(プロフィール)

2013年多摩美術大学卒業後、アニメーション、イラストレーション、漫画など多方面で活動。CuusheのMV「Airy Me」で第17回文化庁メディア芸術祭アニメーション部門新人賞を受賞、また「甘木唯子のツノと愛」にて同賞漫画部門新人賞を受賞。

近作として、加藤シゲアキ著の小説「オルタネート」の装画や「ルミネカード10%OFFキャンペーン」のアニメーション、ポスタービジュアルなど。また作家活動以外にも商業アニメーション作品にもメインスタッフとして携わり「映画 クレヨンしんちゃんもののけニンジャ珍風伝」ではキャラクターデザイン・絵コンテで参加。

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