仕事

2020年調査

在宅勤務はどこまで広まった?

最近「自宅で仕事の電話中、子どもが泣き出して大慌て」とか、「自宅からのオンライン会議でペットが映り込んでほっこり」などという話を身近に聞きます。
すっかり定着した感のある在宅勤務ですが、ほんの数年前は、このような働き方が社会に受け入れられるとは、まったく想像できませんでした。

実際に、この5年で在宅勤務がどのくらい広がったのか、国民生活時間調査のデータから確認してみましょう(図1)。

図1 都市規模別 仕事(自宅内)の行為者率(1日) (勤め人 平日)
図1  都市規模別 仕事(自宅内)の行為者率(1日) (勤め人 平日)図1  都市規模別 仕事(自宅内)の行為者率(1日) (勤め人 平日)
図1 拡大
※勤め人:有職者から、農林漁業者、自営業者、専門職・自由業・その他を除いた、販売職・サービス職、技能職・作業職、事務職・ 技術職、経営者・管理職の合計

「勤め人」というのは、仕事をしている人のうち、農林漁業者や自営業、専門職などを除いた、いわゆる組織で 勤めている人のことです。
2015年では、平日に自宅で仕事をした勤め人は4%でしたが、2020年には7%まで増加しています。
さらに都市規模別にみると、東京圏では12%、大阪圏では11%と、大都市圏では1割を超えています。

この数字は「ふだん在宅勤務をしている人」や「これまで在宅勤務をしたことがある人」ではなく、「調査をした日に、実際に自宅で仕事をしていた人」の割合です。
会社の規模に関わらず、お勤めをしている人全体の中で、その日に自宅で働いた人が10人に1人以上というのは、多いと思いませんか?
しかも、東京圏の20代30代の勤め人に限ると23%、つまり約4人に1人は在宅で仕事をしていたということになります。

ただし、東京圏、大阪圏以外の市町村では、2015年と比べて在宅勤務をする人の割合は変わらず、在宅勤務が広がったのは大都市圏だけだということがわかります。

2020年の調査ではこのような結果でしたが、テレワークの広がりで地方に移住する人が出てきているという話を聞きます。また、休暇を仕事と組み合わせて、ホテルやリゾート地で働くワーケーションという言葉も生まれています。
働く場所だけでなく、働く時間や雇用の形態もより多様になるなど、今、急速に新しい働き方が広がりつつあることを感じています。
働き方がどのようになってゆくのか、これからも目が離せません。

(渡辺洋子 研究員)

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