睡眠

2020年調査

コロナ禍で睡眠時間は増えた?減った?

コロナ禍で、学校や仕事がオンラインとなり、通勤時間がなくなった分、『朝、もう少し布団の中でゴロゴロしていられる』という人もいるのではないでしょうか?
コロナ禍でわたしたちの睡眠時間は増えたのでしょうか?減ったのでしょうか?

生活時間調査では、実は、変わりませんでした。平日の睡眠時間について、1995年からの変化をみてみると(図1)、1995年は7時間27分で、その後は2010年まで減少傾向が続きますが、前回2015年にその流れが止まり、その後は横ばいで、今回は7時間12分でした。
では、週末に寝だめをしていたかというと、そうでもないようです。土曜は7時間46分、日曜は8時間2分で、いずれも前回2015年と変化はありませんでした。

図1 睡眠時間の時系列変化(国民全体 全員平均時間 平日)
図1 睡眠時間の時系列変化(国民全体 全員平均時間 平日)図1 睡眠時間の時系列変化(国民全体 全員平均時間 平日)
図1 拡大

ところが、「コロナ禍でも、人びとの睡眠時間は変化しなかった」と言い切れるかというとそうではないのです。図2は、男女年層別の睡眠時間を2015年と比較したものです。
男性30代と女性40代は睡眠時間が増加し、一方で、男性70歳以上と女性60代以上では減少していました。

図2 睡眠時間の変化(男女年層別 全員平均時間 平日)
図2 睡眠時間の変化(男女年層別 全員平均時間 平日)図2 睡眠時間の変化(男女年層別 全員平均時間 平日)
図2 拡大

どうして年齢によって違うのでしょうか?
働きざかりの男性30代と女性40代は、遅い時間に仕事をする人が減っており、早寝になっていました。一方、男女70歳以上では、夜にテレビや録画番組を見ることが増えていました。つまり、夜更かしをして、睡眠時間が減っていました。年齢によって変化の方向性が異なるのは興味深いですね。

睡眠時間は、仕事や家事といった他の生活行動の影響も受けると考えられます。今後、人びとの生活様式が多様化していくと、睡眠時間の傾向も変わっていくのかもしれませんね。

(平田明裕 主任研究員)

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