NHK放送文化研究所

2021年メディア調査

「メディア利用の生活時間調査」サイトではこんなことができます

この「メディア利用の生活時間調査」サイトでは、「テレビ画面」「スマホ・携帯」「PC・タブレット」という3種類の機器(デバイス)について、使っている人の割合(行為者率)を、棒グラフで2つ並べて表示することができます。

画面上部で「年層・性別・曜日」を、画面下部で「時間帯」を設定することで、年層や性別・曜日による違い、時間帯ごとの変化がひと目でわかります。

具体的な例でみていきましょう。

図1 60代男性・60代女性
  1. 1左側は「60代男性」、右側は「60代女性」
  2. 221時から21時15分までの「テレビ画面」「スマホ・携帯」「PC・タブレット」を利用している人(それを使う行動をしている人=行為者)の割合を表しています。

60代はテレビ

まず、「テレビ画面」が、「スマホ・携帯」や「PC・タブレット」と比べると、圧倒的といっていいくらい使われているのがわかります。
そして、「テレビ画面」のグラフで大半を占めているオレンジ色の箇所は「リアルタイム」(放送のリアルタイム視聴)。
左側60代男性のグラフで、このオレンジ色の箇所にマウスオーバーすると、「リアルタイム46.9%」という表示が出ます。
"60代男性の46.9%が、21時から21時15分にかけてテレビのリアルタイム視聴をしている"という意味です。
表示される数字(%)は、画面下部で表示している時間帯、15分ごとの行為者率です。

テレビ画面を使っているからといって、その用途は「リアルタイム」だけではありません。
グラフ内の凡例も参照して、「リアルタイム」以外の何をしているのか確認してみると、
赤色の「録画」、黄色の「ゲーム」、茶色の「動画」、ピンク色の「DVD」といった項目が並んでいます。

「リアルタイム」と比較すると割合としては小さいですが、録画番組やインターネット動画を視聴している人がいます。
DVDを視聴している人が男性に、ゲームをしている人が女性にいることがわかり、
年層は同じ60代でも、テレビ画面を何に使うか、男性と女性で傾向がやや異なることがわかります。

図2 60代男性・20代男性

20代男性はスマホが中心

さて、60代男女になっていた年層・性別の設定を、左側の60代男性はそのまま、右側を「20代」「男性」へと変更しました(図2)。
曜日・時間帯は変更せずそのままです。
棒グラフの長さが変わり、3種類のバランスが大きく変化しました。

20代男性では、3種類のうち、「スマホ・携帯」を利用している人がもっとも高い割合になっています。
「SNS」「ゲーム」「動画」などに利用している人が多いようです。
また、「雑誌・マンガ・本」(水色の箇所)は、20代男性にあって、60代男性にはみられません。

「テレビ画面」のグラフをみて20代と60代を比べると、行為者率に大きな開きがありますが、
「テレビ画面」を使っている人たちの中で、リアルタイム視聴をしている人が多数派だということは共通しています。
リアルタイムのつぎに多いのは、20代男性ではゲーム、60代男性では録画のようです。

ところで、ここまでみてきて、「テレビを見ながらスマホを使った場合はどうなるのだろう」と疑問に思うかもしれません。
3種類の機器は、どれか一択ではなく、同時に使うこともあります。
具体的には、テレビを見ながらスマホでSNSをする、といった場合です。
結論からいうと、この場合、「テレビ画面」と「スマホ・携帯」の両方にその利用がカウントされます。
この調査では、その機器を使ったかどうかを軸にデータを集めています。
したがって、テレビを使えば「テレビ画面」の利用として、スマホを使えば「スマホ・携帯」の利用として扱われます。
実際の生活シーンで、テレビをリアルタイムで見ながら、スマホを使って、その番組に関するSNSの投稿を見るなど、複数の機器を同時に使うこともあるかと思います。
実態として、テレビ画面とスマホ、PCとスマホといった2種類の機器の組み合わせ、あるいは3種類すべてなど、1人の人がさまざまに組み合わせて使っている可能性もあります。

ここまでみてきたように、グラフでは、どのような人々が、どの時間帯に、どのようなメディア利用行動をしているのか、「テレビ画面」「スマホ・携帯」「PC・タブレット」の3種類を並べて、視覚的にとらえることができます。

画面左下のスライダーを左右に動かすと、時刻の変化に応じてグラフの棒が伸び縮みし、その行動をしている人の増減が一連の動きでわかります。

数字だけではイメージしにくい、生活のなかでの「テレビ画面」「スマホ・携帯」「PC・タブレット」の存在感や、ある時間帯にその行動をしている人びとのボリューム感を、グラフからとらえてみてください。

(伊藤 文 研究員)