社会や政治に関する世論調査

復帰40年の沖縄と安全保障

~「沖縄県民調査」と「全国意識調査」から~

本土復帰前から継続して実施してきた沖縄調査と今回同時期に実施した全国調査から、沖縄の人びとの意識を多角的に分析した。

沖縄に対する国の振興策については、沖縄・全国とも、その有用性や継続の必要性を多くの人が理解している。しかし、「今後は必要ない」という人が沖縄より全国で多くなっているなど、微妙な意識の違いも表れている。

「天皇は尊敬すべき存在」「憲法改正必要あり」「安全のため米国との協力関係続ける」と考える人が、前回10年前より増えているが、全国と比べると少ない。

復帰後も米軍基地が残っていることについて、「日本の安全にとって必要」「やむをえない」が合わせて56%と、この40年で初めて過半数となった。しかし、沖縄の米軍基地について『「全面撤去」+「本土なみに少なく」』と考える人はこの質問を始めて以来30年一貫して8割近くとなっている。また、在日米軍の専用施設の74%が沖縄に集中していることについては、「おかしい」が57%と多数である。米軍普天間基地の名護市への移設問題については、『反対』(「どちらかといえば」も含む)は72%と多数となった。いずれも、全国より多い。

安全保障、米軍基地問題では全国と沖縄の意識の違いが多く見られ、沖縄の方が否定的な考えを持つ人が多い。本土の人は沖縄の人の気持ちを『理解していない』(「あまり」+「まったく」)という人が多数となっている。

世論調査部  河野 啓 / 小林利行