社会や政治に関する世論調査

原爆投下から65年 消えぬ核の脅威

~「原爆意識調査」から~

広島と長崎に原子爆弾が投下されてから今年で65年。放送文化研究所では、広島局、長崎局と共同で今年6月に「原爆意識調査」を行いました。調査では、「原爆の日」の日付を正確に言えるかどうかや、原爆投下の受け止め方などの質問に加えて、核兵器廃絶の是非や核兵器テロの脅威についても尋ねました。こうした原爆や核をめぐる人々の意識には、被爆地である広島・長崎と全国で違いがみられるのでしょうか。分析結果を報告します。

「広島原爆の日」を正しく答えた人は、広島の70%に対して全国は23%、また「長崎原爆の日」を正しく答えた人は、長崎の64%に対して全国は23%という結果で、広島・長崎と全国で大きな差が見られました。しかし、20~30代の正答率は、広島52%、長崎54%で、若い年代の2人に1人は、自分が住む街にいつ原爆が落とされたのか、正しく認識していませんでした。

原爆が投下されたことについて、「いまでも許せない」と考える人は、広島、長崎、全国とも半数程度を占めました。これに対して「やむを得なかった」という人は、広島、長崎、全国とも4割程度でした。

核兵器の今後については、「今よりは減るが、それほどは減らない」という人が最も多く、広島、長崎、全国いずれも半数を超えました。核兵器が「完全になくなる」という人は、広島、長崎、全国とも1~2%とわずかでした。

さらに、近い将来、世界のどこかでテロリストが核兵器を使う危険性が「ある」(「少し」+「かなり」)と考える人は、広島、長崎、全国とも7割を超えました。

核大国であるアメリカのオバマ大統領が去年、「核兵器のない世界を目指す」と明言して注目されましたが、今回の調査からは、核の脅威はなくなってはいないという人々の厳しい認識がうかがえます。

世論調査部(視聴者調査) 西 久美子