社会や政治に関する世論調査

“宗教的なもの”にひかれる日本人

~ISSP国際比較調査(宗教)から~

NHK放送文化研究所は、世界44の国と地域が参加している‘ISSP’(International Social Survey Programme)という国際比較調査グループに参加しており、毎年、共通の質問をそれぞれの母国語に翻訳して調査を行っています。2008年度は「生活意識」をテーマに、人々の宗教に対する考えかたや、「墓参り」や「初詣」といった宗教的行動の頻度などを尋ねました。今回は、2008年11月に行なった日本の結果について、10年前の1998年に行った前回調査との比較も含めて報告します。

宗教への信仰については、「宗教を信仰している」人が39%に対して、「宗教を信仰していない」人は49%で、宗教を信仰していない人のほうが多くなりました。「宗教を信仰している」人は、男性よりも女性、若い人よりも高齢者で割合が高くなっています。また、「親しみ」を感じる宗教については仏教をあげる人が65%と最も多く、1998年の49%から大きく増えました。

宗教的な行動では、「墓参り」や「初もうで」を「よくする」という人が半数を超え、「したことがある」を加えると9割程度の人が行っていることがわかりました。「お守りやおふだをもらう」や「おみくじをひく」については、2人に1人が「したことがある」と答えています。

「祖先の霊的な力」や「死後の世界」、「輪廻転生(生まれ変わり)」などの“宗教的なもの”があると思うかを尋ねたところ、「ある」という人が4割程度を占めました。こうした“宗教的なもの”の存在を信じる人の割合は、若い人ほど高く、高齢者になると少なくなる傾向が見られ、とくに30代女性では7割を超えていました。宗教への信仰が、年齢が高くなるにつれて増えていくのとは対照的となっています。

世論調査部(社会調査)  西 久美子