生活時間調査

生活時間研究の国際的な最新動向

~第28回国際生活時間学会報告~

国際生活時間学会(IATUR)は、生活時間調査の国際研究の促進をはかるために設立された学会で、年に1回、各国の研究者が研究成果を報告する会議が開催されています。今年は2006年8月16~18日にデンマーク・コペンハーゲンで、国立デンマーク社会研究所(Danish National Institute of Social Research)の主催により開催され、ヨーロッパを中心にアメリカ、カナダ、オーストラリアなど26ヶ国から、100名以上が参加しました。

生活時間調査のデータは実に多様な分野で有効活用されているため、報告の内容も多岐にわたり、今回の会議では合計21のセッションが設けられました。中でも、データ解析の手法や、調査手法の違いによってデータの特徴がどう変わるか、などについて議論するセッションが全員参加の中心セッションに位置付けられており、参加者の関心がこれらに集まっていることがうかがえました。

また、今回も「生活時間-インターネットとメディア」というセッションが設けられ、新しいメディアが生活に与える影響を明らかにしようと試みる研究が報告されました。このうち、韓国やオランダといったインターネット先進国からは、テレビ視聴時間の減少が報告されました。一方日本では、国民全体のテレビ視聴時間は減少していません(2000年3時間25分→2005年3時間27分)。相違の要因としては、テレビを長時間見る高年層の割合の違いやテレビ視聴行動の文化的風土の違いなどが複合的に作用していると推測されます。

本稿では、このほか、日本や中国など東アジア諸国からの発表や、調査データ解析についての主なトピックスについて、概要を紹介しています。

研究員 中野 佐知子