海外放送事情

韓国メディアの国際発信力強化

~急成長続ける KBS WORLD TV~

韓国では、2003年7月のスタートから4年を迎えたKBS WORLD TVが、このところ急速に海外展開を図っている。特にこの2年間で視聴世帯数は10か国452万世帯(2005年12月)から40か国3,223万世帯(2007年3月)へと急増している。

KBSの海外展開方針に当たっては、第1のポイントとして、加入料金だけで見ることのできる、ベーシックチャンネルへの進出を基本にしているという点が挙げられる。CNNやBBCなど欧米系の外国チャンネルは別として、一般に外国チャンネルがベーシックチャンネルに進出するのは容易なことではない。しかし、韓流ブームという追い風によって営業を推し進め、可能な限りベーシックチャンネルに進出することで、KBSのブランドイメージを高めようとのスタンスに立っている。

第2のポイントは、世界各国に進出する一方で、アメリカ、日本、中国の3か国については、各国の状況に合わせて対応しているという点である。各国とも韓国系住民の数が多く、韓国に対する影響力が大きい国々である。同時に、日本の場合は、韓国の番組コンテンツに対する市場規模が大きく、中国の場合は、市場規模のみならず、将来的な市場としての潜在力をも併せ持っている。

本稿では、主にKBS WORLD TVの概要、活発化する海外展開の状況、日本における現地法人KBS JAPANの活動などを扱い、日本のみならず、韓国においても未整理状況にあるKBSの海外向け情報発信の実情を報告する。

専任研究員 田中 則広