海外放送事情

韓国のテレビ国際放送arirangの役割と課題

国際放送とは、主に自国のニュースや文化などを海外の人たちに伝える役割を持った放送です。海外向けということですから、放送では英語をはじめ様々な言葉が使われています。

日本の場合、NHKがテレビやラジオで国際放送を行っていますが、お隣の韓国も、1999年から海外に向けて、24時間の英語テレビ放送を行ってきました。放送局の名前はarirang(以下、アリランTV)といいます。日本では、アリランという単語を耳にした方は多いと思いますが、アリランTVについて聞くのは初めてだという方がほとんどではないでしょうか。今回は、韓国を代表するこの国際放送局について見てみることにします。

放送のデジタル化などの急速な技術革新によって、1990年代後半以降、国際社会では映像による情報発信の重要性の認識が急速に高まってきました。日本ではこうした流れに対応すべく、世界の国際放送局について若干の研究が行われてきましたが、主な研究対象は、BBCやCNNなどといった欧米の放送局であって、アジアの放送局ではありませんでした。

しかしここ数年、アジアの各放送局も、積極的にテレビによる情報発信を行っていて、今や日本にとって強力なライバルであるとともに、将来の重要なパートナーとなりうる存在になっています。

そこで本研究では、日本と放送環境が比較的似ている韓国のアリランTVを取り上げ、放送局の概要を整理してその役割を明らかにするとともに、番組制作体制及び制作現場が抱える課題についての検討・分析を行いました。

アリランTVは国際放送の開始が1999年と日本より後発ですが、英語の24時間放送についてはすでに長年の実績があり、日本を大きくリードしています。

2006年以降、国際放送の強化が注目を集める中、本研究の成果は、今後、日本が国際放送の充実を図る上での一助となるでしょう。

田中則広