海外放送事情

デジタル化で失地回復目指す台湾の地上テレビ

~台湾で地上デジタル放送始まる~

台湾で5つの地上テレビ局によるデジタル放送が7月1日から始まりました。台湾の地上局は普及率が85%にまで達したケーブルテレビに広告市場を奪われ、テレビ広告の収入に占める地上局(公共テレビを除く4局)のシェアは1993年の90%以上から今では28%にまで落ち込んでいます。台湾の地上テレビ局は台湾テレビ・中国テレビ・中華テレビの3局の時代が長く、この3局は国民党の一党支配のもと、放送の内容についてコントロールを受ける一方、新規参入を認めないことによる「特権」のもとで独占的な利益を享受してきたため、新興のケーブルテレビに遅れをとることになったのです。

今回の地上デジタルテレビ放送の開始は、地上局のケーブルに対する「反攻」と位置付けられています。地上テレビ局はデジタル化に際して当面ヨーロッパと同様に多チャンネルを選択し、各局とも3チャンネル(公共テレビは予算の関係でまだ2チャンネル)による放送を始めています。「ケーブルにないサービス」ということで車などの移動体向け放送も重視され、「交通チャンネル」なども出来ています。台湾ではアテネオリンピックの放送権を公共テレビ以外の4つの地上局が獲得しているため、当面はオリンピックの中継で地上デジタルテレビの受信者を増やそうとしていますが、受信のためにはチューナー内蔵型のテレビかセット・トップ・ボックス(STB)と呼ばれる外付けチューナーが必要になるため、各局とも比較的値段が安いSTBの普及に力を入れています。台湾でメディアを管轄する行政院新聞局では、出来れば2006年、遅くても2008年までにはアナログ放送を終了させたい考えですが、アナログ終了の目安となる地上デジタル放送の普及率85%がクリアできるかは、今後の地上テレビ局がどこまでデジタルチャンネルで充実した番組を提供出来るかにかかっています。

メディア経営 山田賢一