放送史

新聞に追いつき追い越せ

~ラジオニュースからテレビニュース~

放送史グループは放送史への証言インタビューを行っています。今回はラジオからテレビへの移行期の報道現場について,政治,経済,社会各部で当時記者として活躍した3氏に鼎談(ていだん)形式で話を聞き,多角的な論議を展開しました。

鼎談に参加してもらったのは,1971(昭和46)年当時,政治部副部長だった畑源生氏,経済部長だった玉木存氏,それに 1968(昭和43)年当時社会部警視庁キャップだった船久保晟一氏の3氏で, NHKのラジオからテレビへの移行期の報道現場の状況を,お互いの記憶を重ね合わせる形で語ってもらいました。特にこの時期は,NHKが新聞社などと競合しながら,その報道部門の基盤を固めていく時代でもあり,貴重な証言が得られました。

3氏の証言の中で,まず畑氏は当時を振り返り,「自民党長期政権の中で政治取材の中心は政局の動きだったが,派閥の領袖の発言には,現在と違ってブレがなかった。この意味では今に比べて楽だったかもしれない」と述懐します。玉木氏は,「高度経済成長の流れの中で 1969(昭和44)年にNHKに経済部が発足したが,これまで政治中心だっただけに政治,経済それぞれ担当分野の調整は大変だった」と述べています。船久保氏は,「当時記者は原稿が勝負で,現場リポートを単なるしゃべりとして軽視する雰囲気があったが,たまたま雨の日に,傘もささずにリポートしたら新聞に印象的だったと書かれた。記者も現場の映像素材の一つだと認識することになった」と言います。

このほかENGの導入,ドル・ショックの対応など当時の問題点を回想してもらうとともに,最近のメディアのあり方,後輩への注文などを聞きました。

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