メディアフォーカス

政府 特定秘密保護法施行に向け,政令,運用基準を閣議決定

政府は,10月14日,特定秘密保護法施行令等の政令及び運用基準を閣議決定し,同法は12月10日に施行されることとなった。

運用基準は,特定秘密の指定,解除や適正評価の実施に関して統一的運用を図るため,法で策定が義務づけられている。これらの規定で具体化される運用の仕組みが,基本的人権の尊重等の実効性を確保できるものか注目されていた。政府は,2013年12月13日の同法公布後,施行に向けて有識者による情報保全諮問会議,政府委員による情報保護監視準備委員会等での検討,パブコメ等の手続きを重ねて,今回,閣議決定した。

施行令では,秘密指定を行う行政機関の長を19に限定することなどが規定された。基準では,基本的考え方として,同法の規定の拡張解釈の禁止や基本的人権,報道・取材の自由の尊重を明記。特定秘密の対象の明確化に向けて,同法別表記載の事項をより具体的な細目として示すとともに,行政機関の法令違反の事実や隠ぺい目的の秘密指定の禁止等を規定する。また,制度の適正な運用確保に向けた,内閣保全監視委員会,内閣府独立公文書管理監等のチェック機構とその実施内容の規定,施行から5 年後の見直し検討などが規定される。

今回示された具体的な仕組みについて,民放連が報道委員長コメントとして,知る権利の尊重等を明記する点等で一定の評価をしつつも,チェックに当たる内閣府独立公文書管理監の権限など法の骨格となる部分に問題点が残ることを指摘する等,なお懸念が払しょくできていないとの声もある。

山田 潔