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台風18号で約360万人に避難勧告“空振りをおそれず”住民に混乱も

大型で非常に強い勢力の台風18号は,10月6日,浜松市付近に上陸し東日本を縦断した。横浜市では,がけ崩れで2人が亡くなるなど各地で被害がでた。この台風で多くの市町村が避難勧告を発表,対象人数は全国で356万7,917人で,過去最大規模となった。

この背景には,2014年4月に内閣府が改定案として示し,9月から正式に運用がはじまった「避難勧告等の判断・伝達マニュアル作成ガイドライン」がある。ガイドラインでは,市町村に,避難勧告等は空振りをおそれず早めに出すことを求め,避難所への避難だけでなく,屋内に留まって安全を確保することも避難行動の一つとした。

今回,避難勧告の対象者が約360万人に上ったことについて,内閣府では「これまで避難所の開設が間に合わないなどとして避難勧告を出すことに慎重だった自治体も,ガイドラインを受けて空振りをおそれず避難勧告を出していただけるようになった」と評価している。一方で「市内全域に避難勧告」など,対象地域を絞らずに避難勧告を出した自治体もあり,「どこに避難すればいいのか」など,住民が混乱する例もあった。

避難情報は,住民に命を守るための行動を促す減災情報であり,NHKは避難準備情報や避難勧告,避難指示などの情報をテレビとラジオで速報している。必要な時に,必要な人に,その意味を的確に伝え,災害軽減につなげるにはどうすべきか,今後も考え続けなければならない。

山口 勝