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米FCC,プロスポーツのチケット販売促進の「ブラックアウトルール」を撤廃

連邦通信委員会(FCC)は9月30日,1975年に設けられ,多くのプロスポーツリーグが導入している「ブラックアウトルール」について,5人の委員の全員一致で撤廃することを決めた。

かつてプロスポーツリーグはチケット販売を最大の収入源としていたため,チケットが売れなければテレビ局が試合中継をしないというブラックアウトルールを,アメフトのNFL=National Football Leagueが導入していた。例えば,NFLと放送権を持つテレビネットワークの間では,チケットの一定割合が試合開始72時間前までに売れなければ,球技場から半径75マイル(約121㎞)圏内の地上ローカル局は試合を放送しないという合意があるが,その際の「抜け穴視聴」を防ぐため,FCCは当該の試合はケーブルテレビや衛星放送でも再送信を禁じていた。

しかし,NFLではテレビ局への放送権販売による収入が年間60億ドルに達するなど,主要な収入源がチケット販売からテレビ放送権収入に移行しており,仮にチケットが売れなくてもチームやオーナーなどが買い取るなどの方法でブラックアウトを避けることが一般的で,実際,2013~14年シーズン中にブラックアウトしたのは全256試合中わずか2試合だった。

このためFCCが今回NFLの反対を押し切ってルールの撤廃を決めたもので,トム・ウィーラー委員長は「NFLの成長を維持するためにもはや私たちの助けは不要である」と述べた。NFLは地上放送局と2022年まで放送権契約を結んでおり,今回のFCCの決定の影響はそれほど大きくないと見られている。

松本裕美