メディアフォーカス

受信料の消滅時効は5年 初めての最高裁判決

9月5日の最高裁判決において,受信料債権は民法169条の定期給付債権であり,消滅時効の期間は5年だとする,最高裁として初めての判断が示された。

支払いに応じない受信契約者に対してNHKが実施する民事手続きの中で,受信料債権は何年で消滅時効になるか(時効期間)が問題となっていた。民法では,債権の消滅時効期間を,原則10年としつつ,今回の定期給付債権のような,10年より短いいくつかの短期消滅時効のケースを定めている。

NHKは,放送法に締結義務が定められる受信契約の特殊性等から,受信料債権の時効期間は,短期消滅時効ではなく原則の10年だと主張してきた。これまでにも消滅時効期間を5年とする高裁までの判決は複数あったが,今回の最高裁判決で確定したことになる。

時効制度では,時効期間を過ぎても,実際に債権消滅の効果を発生させるには,当事者による時効の効果を受ける意思表示(援用)が必要だとされており,時効の効果を受けるか否かを当事者の意思に委ねている。

NHKとしては,受信料公平負担の観点から,時効期間とは関係なく未収状態の全期間分の受信料を請求し,受信者側が時効を援用する場合は,今回の判決を受けて消滅時効期間を5年として取り扱うとしている。

なお,時効期間が5年となることのNHKの財務状況への影響について,NHK決算では,企業会計基準等に則って未収受信料欠損償却などの処理がすでになされており,懸念するものではないと考えられる。

山田 潔