メディアフォーカス

台湾,メディア集中規制法への要求高まる

台湾では,メディア事業を拡大している食品企業の旺旺グループが2012年11月に台湾最大手の新聞の買収に動いたのを受け,言論の多様性が失われるとして,メディア集中を防ぐ法整備を求める声が急速に高まっている。

この問題は,中国時報・工商時報・中国テレビ・中天テレビなどを傘下に置く旺旺グループが,対立関係にあった壹傳媒グループ傘下の台湾最大手の新聞『りんご日報』を,旺旺の蔡衍明オーナーの子息など複数の財界人の名義で買収することで合意したものである。

中国時報とりんご日報を合わせると,大手4紙の中でのシェアが5割近くとなる上,蔡氏はこれまで自分に批判的な学者や記者をグループ傘下のメディアで攻撃していたため,メディアNGOの「媒体改造学社」やメディア関係者を中心に懸念の声が高まった。

立法院(国会)では1月9日,野党第一党の民進党が提出した,メディア集中規制条項を盛り込んだラジオテレビ三法(地上波・衛星・ケーブル)の改正案に与党国民党も同調,一次審議を通過した。しかし,その内容に新聞社や地上テレビ局の大株主によるケーブル事業運営の制限など,既存の事業者も縛る項目があったため,事業者から国民党に対し法案反対の要望が殺到,国民党は細部の不備を理由に法案を差し戻し,独立規制機関の国家通信放送委員会(NCC)が3月下旬までに新たな法案を用意することになった。

台湾では市民の間でもこの問題への危機感が強く,1月13日に民進党が「メディア独占反対」を主眼の1つに実施したデモには10万人が参加するなど,メディア集中規制の法整備要求は一段と高まっている。

山田賢一