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韓国,地上テレビが24時間放送へ

韓国の放送通信委員会(KCC)は9月7日,これまで1日19時間(06:00~翌01:00)に限ってきた地上テレビ放送の運用時間制限を撤廃し,24時間放送を認める決定をした。

韓国では従来,ケーブルテレビや衛星放送などの有料放送は24時間放送が可能だったが,地上テレビ放送に関しては電力消費の抑制やケーブルテレビなど後発事業者の競争力向上を理由に,深夜放送を認めてこなかった。1961年にKBSがテレビを開始した当時は,夕方4時間程度の放送であったが,その後,政府の許可により,1967年の朝の放送実施(06:30~09:00),1996年の朝の放送拡大(06:00~12:00),2005年の昼の放送拡大(12:00~16:00)と,地上テレビの放送時間が徐々に増加した。そして,今回,初めて,地上テレビの放送時間規制が全廃された。

KCCは,今回の規制緩和が,有料放送へのアクセスが困難な社会的,経済的弱者のアクセス権保障につながり,地上テレビ放送の編成の自律性拡大,さらに放送の公益性と番組の競争力強化にも役立つ,としている。一方で規制廃止にあたってKCCは,視聴者の保護や放送の多様性・公益性の確保のため,深夜時間帯(01:00~06:00)の再放送比率を40% 以内に,また,成人向け番組の比率を20% 以内にする等の条件を付けた。

今回の決定にともない,地上テレビ放送各社は10月以降,段階的に放送時間を拡大する計画で,深夜時間帯の主な編成は,KBSがクラシック音楽・スポーツ・ドキュメンタリー,MBCが時事報道・文化芸術・地域社会番組,SBSが報道・ドキュメンタリー・スポーツ番組などを放送する予定である。

田中則広