メディアフォーカス

ニュージーランド,公共放送サービスの使命を記した「TVNZ憲章」の廃止と
その波紋

7月12日,ニュージーランド議会は『2011年TVNZ改正法』を64対56票で可決,「TVNZ憲章」を廃止した。2003年に労働党政権下で発効した憲章は,マオリ語を含むニュージーランドの社会や独自の文化を反映した国内制作番組を増やし,他局があまり取り上げないテーマや少数派の意見に配慮した番組を放送することなどを,TVNZの使命として掲げてきた。

二大政党の一つの国民党は,政権を掌握した2008年より,TVNZの経営実態と矛盾するとして,憲章の廃止を公約にしていた。コールマン放送相は,今回の憲章の廃止は番組編成にさほど影響はなく,TVNZはようやく,時代に合ったデジタルメディア企業活動に必要な柔軟性を獲得できる,と歓迎している。

政府はすでに今年4月,憲章における任務遂行のためTVNZに毎年交付してきた1,500万NZドル(約98億円)を,今後は支給しないと発表している。交付金終了に伴い,現在広告放送を入れずに放送している国内制作番組専門チャンネルのTVNZ7は,2012年6月をもって終了する。今後,TVNZは商業収入のみでの運営となり,この1,500万NZドルはニュージーランド放送委員会(通称NZ On Air)に割り当てられ,国内制作のテレビ・ラジオ番組,音楽,オンラインコンテンツへの助成金として使われる。

野党の労働党や緑の党は「公共放送サービスは死んだ」と嘆き,既得権利や視聴率から独立した公共メディアは健全な国家に不可欠であるのに,政府はその存在意義を軽んじ過ぎている,と強く批判している。

木幡洋子