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米,解消進まぬデジタルデバイドの背景

アメリカ商務省の電気通信情報局(NTIA)は2月17日,インターネットの利用実態調査報告書(Digital Nation-Expanding Internet Usage)を発表した。昨年の10月に5 万4,000世帯を対象に行った調査の結果をまとめたもので,それによると,68.2%の世帯がブロードバンドを利用していることがわかった。調査では,DSL(デジタル加入者線),ケーブル,光ファイバー,携帯ブロードバンドなどによる高速インターネットサービスをブロードバンドと定義づけている。普及率は5 年前の調査(63. 5%)に比べて4.7ポイント上昇した。

調査によると,都市部では70.3%の世帯にブロードバンドが普及しているのに対し,地方では60.2%にとどまるなど,相変わらず都市部と地方で格差(デジタルデバイド)があることも明らかになった。

ブロードバンドを利用していない人たちの半数近くが,ブロードバンドについて「必要がない・関心がない」と答えており,次いで2 割以上の人が「費用が高いために利用しない」と答え,さらに,地方では未利用者の1割近くが「サービスが提供されていない」と答えるなど,インフラの未整備も地方で普及が進まない要因になっていることが明らかになった。

オバマ大統領は2月10日,今後5 年以内に国民の98%に無線高速通信網を普及させる計画を発表したが,今回の調査では国民の28%がインターネットをまったく利用していないことも明らかになり,オバマ政権が重視するブロードバンドの普及と有効利用に向けては,経済的・技術的問題に加えて国民の意識の問題なども課題として指摘されている。

斉藤正幸