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NHK受信料,支払拒否認めず 東京地裁が初の判断

東京地裁は2009年7月28日,受信料の支払いを拒否した東京の2人の男性に対して,NHKの請求どおり,未払い分の受信料を全額支払うよう命じる判決を言い渡した。

男性2人は,NHKが06年11月に初めて実施した受信料の未払い世帯に対する支払督促で,簡易裁判所の支払い決定に異議を申立て,東京地裁での本裁判に移行した。

2人は,政治的介入を許したり,受信料の不正流用をしたりするNHKに受信料を払うのは思想良心の自由を定めた憲法に違反する,受信料の支払いをやめるためには受信機を廃止しなければならず民放番組の視聴が妨げられて知る自由が侵される,NHKの番組は一切視聴していない,などと主張した。

判決で,綿引穣裁判長は,①受信契約の締結や,受信料の支払いを求めたり,受信機を廃止しない限り解約を禁止したりすることは,NHKの放送内容や経営活動を是認するよう強制するものではなく,批判する見方,考え方の変更をせまるものではない,②自由な意思に基づいて受信契約をしたのだから,憲法が保障する思想良心の自由を侵害するものとはいえない,③NHKの番組を受信できる受信機を設置したものは,NHKと契約し受信料を支払わなければならないとする規定は,民放番組の視聴を妨げるものではないから,知る自由やどの番組を見るかの自己決定権を侵害するものとはいえない,などとして2人の男性の主張を退けた。

裁判所が受信料の支払義務についての判断を示したのは初めてである。

奥田良胤