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NHK 経営委員3氏,国会で不同意

政府は2008年12月21日で任期満了となるNHK経営委員4氏の後任人事を国会に提示したが,2008年11月21日に行われた衆参両院の採決の結果,参議院での承認が得られず,3氏が不同意となった。

任期満了となるのは,委員長の古森重隆氏(富士フイルムホールディングス社長),保ゆかり氏(オフィスピュア代表),多賀谷一照氏(千葉大学教授),篠崎悦子氏(ホームエコノミスト)の4氏で,このうち多賀谷氏と篠崎氏は常勤委員を務めている。

NHK経営委員は国会の同意を必要とする人事のため,政府は後任委員として,多賀谷氏と篠塚氏の再任とともに,新たな委員として前田晃伸氏(みずほファイナンシャルグループ社長)と桑野和泉氏(大分県由布市・旅館「玉の湯」社長)を国会に提示した。

衆議院は全員を承認したが,野党が過半数を占める参議院では,桑野氏を除く3氏について野党側が承認せず,不同意となった。NHK経営委員の政府提示が国会で同意されなかったのは初めてのことである。

野党の民主党は,みずほファイナンシャルグループはNHKのメインバンクで前田氏は利害関係があること,また再任の2氏はこれまでの委員としての発言や姿勢から同意できない,との理由を説明した。

不同意となった3氏の後任は改めて提示されるが,放送法の規定では後任の委員が決まるまでは,現委員が職務を継続することになっている。ただし,委員長の古森氏は11月25日の記者会見で,任期満了の12月21日でもって辞任する意向を表明している。

奥田良胤