メディアフォーカス

英政府,放送白書を発表

イギリス政府は3月14日,BBC の将来に関する放送白書「すべての人に公共サービスを: デジタル時代のBBC」を発表した。また,BBC の存立根拠となる次期特許状の草案と政府との協定書の枠組みについて発表し,国民や関係者の意見を幅広く求めた。

政府は2005年3月に発表したグリーンペーパー(政府方針のたたき台)で,BBC が2007年から2016年まで10年間有効の特許状で存立し,この期間受信許可料を財源とすること,番組やサービスの範囲と規模を現行どおり維持すること,経営委員会を廃止し,「BBC トラスト」という監督機関と「理事会」の執行機関とによる統治構造を採用すること,といった主要な4 つの方針を決定していた。今回の白書では,「市民性と市民社会を維持する」「教育と学習を強化する」「創造性と文化的卓越性を高める」「全国・地域・コミュニティを反映する」「海外との架け橋となる」「デジタル完全移行に貢献する」をBBC の公共的目的として明確化した。中でも,2012年に地上アナログ放送を完全に中止する過程において,デジタルデバイドを解消する上でBBCの役割に大きな期待を示した。また,政府は,これら6 つの公共的目的の枠組みの中で,「娯楽」はBBC の重要な任務の1 つであると明言する一方,商業放送の模倣を排し,他とは異なる卓越性が伴うことを義務づけた。

この白書の発表によって,過去2年余りにわたり行われたBBC 論議は終結し,政府とBBC の間では現在,2007年4月以後の受信許可料の取り決めに関し交渉が行われている。

中村美子