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テレビドラマのネット配信の著作権使用料,暫定額決まる

日本経済団体連合会は,2005年3月23日,テレビ番組などの映像コンテンツをブロードバンド配信する際の著作権の基本的な使用料について,2006年3月31日までの1年間限定で適用する暫定額を決定したと発表した。2006年4月以降の料額は改めて検討される。

具体的には,配信を行う事業者や団体が,視聴者から徴収する配信収入(情報料収入)の計8.95%を,日本音楽著作権協会など著作権の権利者7団体に支払うことになる。分野別の配分は,文芸(原作者,脚本家など)2.8%,音楽(作詞・作曲家)1.35%,レコード(製作者,演奏家)1.8%,実演(俳優,声優など)3.0%となっている。なお,音楽分野については,広告料収入の1.35%が加算される。

今回決定した著作権の使用料額は,経団連(当時)が2002年2月,権利者6団体と日本民間放送連盟など映像コンテンツ利用者9団体からなる「ブロードバンドコンテンツ流通研究会」を設置して協議を開始し,ようやくまとまった。この暫定額は,権利関係が複雑とされる,放送局が制作したテレビドラマをストリーム形式で配信する場合をモデルとしたもので,ダウンロードによる配信やバラエティ番組などの著作権使用料は,この料額を一定の目安として当事者間で調整される。

インターネットの広告費が2004年に初めてラジオを上回り,ニッポン放送の筆頭株主にIT関連企業のライブドアがなるなど,放送とインターネットの新たな枠組みが構築され始めた中での決定は,映像コンテンツの流通拡大に向けた大きな一歩となる。

東郷 荘司