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民放とNHKの二元体制に関し民放連が報告書を公表

日本民間放送連盟(民放連)の放送計画委員会は2004年12月16日, 多チャンネルや多メディア化が進むデジタル時代にあって,広告放送の 民放と受信料収入のNHKが共存するあり方について民放事業者としての 考え方を示した「『デジタル時代における放送の二元体制』に関する 検討報告」を発表した。

報告書では,二元体制については,国民・視聴者が多元的な放送 サービスを享受するためにも,地域免許・広告放送の民放と全国単一組織 ・受信料収入のNHKの共存は必要であるとしている。その上で,受信料 制度は二元体制を維持・発展していくために優れた制度であると評価し, デジタル時代にもNHKは受信料収入を財源とすべきだとしている。

そして,NHKが果たす基本的な役割は,受信料を財源とするテレビ ・ラジオの放送サービスの提供に限定されるべきであるとし,通信系 サービスは放送法で定める附帯業務の範囲を超える恐れがあり,慎重な 検討が必要だと指摘した。さらに,デジタル時代にも公共放送が多数の メディアを保有する必要があるか改めて検討することや,NHKは子会社等 を通して放送に連動した商業化を進めるべきではない,NHKのインター ネット事業は放送を補完する範囲に限定し,その財源は現行の受信料で 賄うこと,などについて言及している。

この報告書は,同委員会がNHKの業務拡大や商業化などの問題に ついて民放事業者の考え方を明らかにする狙いで,会員全社を対象に 実施した「NHK問題に関するアンケート調査」結果などを参考にまとめた。

東郷 荘司