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テレビ局への総務省厳重注意に対し,BPO3委員長が批判声明

放送倫理・番組向上機構(BPO)の「放送と人権等権利に関する委員会」(BRC)と「放送と青少年に関する委員会」,「放送番組委員会」の3委員長は連名で11月11日,ことし6月に総務省が行ったテレビ朝日と山形テレビに対する厳重注意(行政指導)に対して,公権力の放送局への行政指導は慎重であるべきとの声明を発表した。 テレビ朝日は03年9月に北朝鮮拉致家族問題を報道した際に,自民党の衆院議員・藤井孝男氏の国会発言に関して,別の審議の場での「不規則」発言を北朝鮮拉致家族問題に関連して発言したように編集して放送した。 BRCはテレビ朝日に重大な過失があったと認定し,同局に対して適切な措置をとるように勧告した。総務省はBRCの判断を引用して,テレビ朝日に「厳重注意」を行った。これについて声明は,第三者機関としてのBRCの存在を甚だしく軽視するものであり,テレビ朝日はBRCからすでに勧告を受けており,二重の処分を受けたことになると批判した。 また,テレビ朝日の昨年の衆院選挙報道と,山形テレビの『自民党山形県連特別番組』(04年3月放送)に対して,総務省が政治的公平に反しているとして行った「厳重注意」に関しては,政治的公平を求めている放送法第3条の2第1項は,「精神的規定の域をでない」とされており,行政指導には慎重であるべきだとしている。声明は,政治報道に関して,公権力がその可否を判断することは,慎重のうえにも慎重でなければならない,と指摘した。

奥田良胤