国内放送事情

予想高さと緊急時コミュニケーション

~津波警報改訂でどう変わるか~

東日本大震災から2年近くが経つ2013年3月7日、気象庁は津波警報の大幅な改訂を行う。改訂の主な狙いは、津波の予想高さの過小評価を防ぎ、予想高さによって避難の足を鈍らせないようにすることにある。

しかし、そもそも東日本大震災では、予想高さとその引き上げが被災地の住民に伝えられていたのだろうか。被災3県の37市町村に電話による聞き取り調査を行った結果、多くの市町村が、予想高さとその引き上げを防災行政無線で住民に伝えていなかったことが分かった。その理由を尋ねたところ、予想高さには不確さがあり、住民にとって分かりにくいと判断したという回答が多かった。

予想高さは、予測の誤差による幅と一定の不確実性を伴うために、あくまでも目安とされている。一方、その引き上げは危機の深刻化を伝える、極めて重要な情報となる。

東日本大震災では、沖合の海面の急上昇によって、予想高さが引き上げられたが、引き上げの理由が市町村や放送メディア、住民に直ちに伝えられなかった。沖合の海面の急上昇という事実にはインパクトとリアリティがある。地震計の記録を基にした予想高さの第1報よりは、住民にとって分かりやすい情報だった筈である。

改訂後の新しい津波警報では、予想高さを引き上げた場合には、理由を明示することになったが、市町村やメディアも、しっかりと住民に伝える必要がある。大津波警報が継続中であっても、予想高さの引き上げには重大な意味があり、引き上げの理由は必ず伝えるという情報解釈のルールが共有されていることが、緊急時のコミュニケーション上、重要である。

メディア研究部 福長秀彦