国内放送事情

メディアの選択と広がりの方向

~日本人とメディア調査2011より~

大きく変わりゆくメディア環境の中で日本人とメディアの関係がどうなるかを探るために2006年から実施している「日本人とメディアに関する世論調査」の2011年調査を1月に実施。この調査から完全デジタル化半年前のデジタルメディアの普及状況を概観する。さらに、ジャンル別の動画視聴や情報入手で選択するメディアの分析、デジタル機器の導入と利用概念に対する人々の所属階層からメディアへの態度のタイプ分けによる分析を行う。

地上デジタル放送に対応した機器を持っている人は84%で、昨年の64%から20ポイント伸びている。持っているデジタルテレビの平均台数は1.8台で、2010年調査の1.4台から増加している。

衛星放送では、BSデジタル放送を視聴できる人は6ポイント増の46%、BSアナログ放送を視聴できる人は6ポイント減の6%で、BS全体では52%と昨年と変わらない。CS、ケーブルテレビなどを含む専門チャンネルを見ている人は20%であった。

インターネット系では自宅のパソコンの所有は64%、スマートフォンの所有は7%、タブレット型パソコンの所有は2%であった。携帯電話の利用については、利用していない(16%)、通話(83%)、メール(69%)などは昨年と同水準であったが、カメラ(49%)、インターネット(32%)、ワンセグ(15%)の利用などは昨年より伸びている。

動画等視聴に利用するメディアは調べたすべてのジャンルで圧倒的に地上波テレビが使われていた。情報入手については、ほとんどの情報で70%を超える人が2種までしかメディアを使っておらず、地上波テレビ、新聞はほとんどの情報種で利用されるが、それ以外のメディアは特定の情報の入手に限って利用される場合が多いようである。

各メディアの導入・利用状況から9タイプに分けた分析では、年層による差が目立ったほか、テレビ系・インターネット系と別れた導入の進展が見られた。

メディア研究部(メディア動向) 石橋 丈