国内放送事情

メディア最前線・緊急リポート

大詰めを迎えた放送制度論議

放送全般とNHKの在り方についての議論を進める「通信・放送の在り方に関する懇談会」は、第9回会合から“最終とりまとめ”に向けた議論を始めた。放送全般については、マスメディア集中排除原則の「一段の緩和」、IPマルチキャストは「地デジの再送信に限定されない」、県域免許は「(デジタルの時代に)在り方がふさわしいといえるのか」など、これまでの放送制度異なる方向性が示された。NHKの在り方についても、経営委員会は「チェック機能を果たせていない、機能強化が必要」、公共放送の範囲では「チャンネル数が多い」、受信料制度では「徴収にかけるコストがおよそ800億円、NHKの収入に対して12.9%(中略)これはいくらなんでも異常」などの見解が示されている。

こうした議論に対して、民放連もNHKもヒアリングなどで自らの見解をしめしている。「(IPマルチキャストは)補完措置」「(県域免許は)非常に重要」(以上民放連)、「(チャンネル数は)一概に多い少ないと言えるものではない」「(受信料制度について)現行制度の範囲内で最大限努力をしたい」(以上NHK)などである。また4月21日に発表されたNHK会長の諮問機関「デジタル時代のNHK懇談会」(以下、デジ懇と記述)中間報告でも、竹中懇と異なる考え方が示された。

こうした放送制度をめぐる議論は、一部の項目は5月中に開催される会合でも議論されるが、多くの問題については第9回会合までの方向で報告書が作成されるという。これまでの議論の内容を整理した。

主任研究員 鈴木祐司